先月、臨時国会に提出された「女性活躍推進法案」は、すべての女性が輝く社会を目指して「2020年までに女性リーダーの登用を30%」などの目標を掲げていました。11月7日の深夜、テレビ朝日系列『朝まで生テレビ』では「女性が輝く社会」をテーマに3時間の討論が行われました。

    女性が男性に合わせることなく働くことができる社会こそが必要

パネリストは内閣府女性活躍担当副大臣の赤沢亮正氏、ウェブメディア『シノドス』編集長の荻上チキ氏らのほか、国会議員の辻元清美氏、経済評論家の勝間和代氏、ジャーナリストの荻原博子氏など半数以上が女性という並び。

番組冒頭では、日本の女性の7割が非正規雇用で働いている事実や、先進国中最低となった日本の男女格差などのデータをもとに日本女性の労働に関する現状を紹介。また先日、妊娠を理由に管理職を降格させられたのは男女雇用機会均等法に反するとして、広島市の理学療法士の女性が勤め先の病院を訴えたマタハラ問題にも触れ、男性社会の中に女性が入っていかないとならない問題を指摘。他のパネリストたちも「女性が男性に合わせることなく働くことができる社会こそが必要」という意見で一致していました。

    「女性が輝く」=「社会に出て働くこと」なのか?

また、日本に管理職や国会議員に就く女性が少ない原因は、女性たちの能力の有無ではなく、妊娠、出産で一時的にも会社から抜けられては困るくらいキツキツで働かなくてはいけない労働状況であるということについても議論が及びました。

しかし、司会の田原総一朗氏に自身の妻の就業形態について尋ねられた荻上氏が「専業主婦」と答えたところ、討論者からどよめきの声があがる場面が。この反応に荻上氏が「ここまで女性の働き方の話しかしていませんが、働く女性、働かない女性、すべての女性が輝く多様性のある社会を目指す議論と考えていいのでしょうか」と流れを正していました。

ネット上では

・今の反応は専業主婦を侮辱しているのでは?
・なぜ当たり前のように「女性が輝く」=「社会に出て働くこと」となっているのだろう
・パネリストの中に家庭で頑張っている主婦がいるべき
・私は気質に合わないので、バリバリ働くことで自分が輝くとは思ってない

など、荻上氏と同様に専業主婦を蔑ろにして進む議論に疑問を唱える声が目立っていました。「女性活躍推進法案」はそもそも経済力の底上げが政府の目的ですが、社会に出て労働することに対してのみ「活躍」「輝く」という言葉を使っているがために、こうした意見が出るのでしょう。

    男女ともに働きやすい社会とは何か

また、番組では女性についてのみ議論されていましたが、

・女性の働き方の多様性を議論するなら、同時に男性の働き方の多様性も話さなきゃ
専業主夫になりたい男性も多いと思うし、もっと増えても良い
・今、女性の代わりに男性が輝いてるとも思えない

など、すべての人の働き方に対して見方を広げるべきだという意見もありました。男女で分けるのではなく、包括的に考えていくことを抜きには現状は改善されないということでしょう。

専業主婦だろうと管理職だろうと、自分に合った生き方を選択して適材適所で能力を発揮できる社会こそ、目指していくべきではないでしょうか。同法案は、来週中に衆院が解散する調整に入ったことで、廃案になりそうな見通しですが、みなさんは“自分が輝く働き方”について、どう考えるでしょうか。

(編集部)