第14帝國、メジャー進出!「主役はトーク」と語る ″元帥マジック″の秘密を暴く

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91年に創設され、20年以上の歴史を持つ「第14帝國」。
ギャグありシリアスありのステージで人気を博す劇団(?)です。
そのすべてを統括するのが楠本柊生帝國元帥(通称元帥)。 

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なんと第14帝國が12月18日にCD『やれって言われたのでCDにしてみました』とDVD『第14帝國トーキングシアター〜お魚になった元帥〜』にてメジャーデビューすると聞いて、元帥に話を伺いに来たのだけれど……?

(※第14帝國の舞台のことは「式典」、出演者のことは「リッター」、ファンのことは「臣民」と呼びます)

――第14帝國とは一体どんな劇団……、そもそも劇団なんでしょうか……?

元帥:昔だったら、「いや"劇団"ではなく我々は"帝國"であって……」というような話をしてたのだけど、元帥も最近丸くなったんだ(笑)。
劇場型国家には違いないから、劇団でよしとしましょう(笑)。

――第14帝國の魅力は、ストーリー構成の巧みさや、多くの伏線が一気に回収されていく爽快感にあるように思うのですが?

元帥:ありがとうございます。毎度パズルを組み立てるようなストーリーなもので…。
でも、そう言いつつも、地味に一番頭使ってるのって、トークなんじゃないかなって思うんだよね。

――式典(公演)では、必ず中盤にトークコーナー(最高幹部会議“オールナイト14”)がありますね。

元帥:うん、ただ単純にトークが面白いって人は世の中にゴマンといると思うから。
それなら、本当に面白いトークってどんなものなんだろうって考えた時に、それはきっと、完璧に創り上げられた世界観の中で繰り広げられる“緊張と緩和”なんだろうなと思ったんだ。つまり…ギャップね。

だからトークが始まるまでの式典の前半部分は、完全にシリアスSTORYモードじゃないといけない。ギャグはガマン(笑)。

フリートークではなく、シチュエーショントークです。真剣に戦い、殺す人間がいて殺される人間がいて…その殺した側と殺された側が、役を降りることなく、その立場のままトークコーナーでトークする。

あんまり裏側から観られたくはないんだけど、このトークコーナーはどこまでを良しとするか、ギリギリのラインのせめぎ合いなんだ。

今だと、帝國は“ギャグ”とか“笑い”ってイメージをもって観にきてくれるから、あまり意外性はないのかもしれないけど…、昔は“笑い”ってことをひた隠しにして式典をやってたから「なんかヤバい人たちの集会なのかな…」くらいに思って観に来た人たちが、トークが始まった瞬間に驚いて笑い崩れていく様子が心地よかった。手品やってるみたいで。

でも、たまに前半の途中で帰ってしまう人もいて…「あ〜!オチを見ずに帰らないで!」とステージの上から思ったこともある(笑)。

あくまでトークの“お題”として、シリアスとトークのギャップを大きくして笑いを増幅させるために前半部分を演劇的要素で完璧に仕上げる必要があった。でも、主役はトーク。

 

――当時は、お芝居の方がオマケだったんですか!?

元帥:いや、当時からトークの方がオマケだと思われてたと思うけどね(笑)。だから前半に完結するストーリーがあって、トークで前半のストーリーにオチがついていって、それで終わりでいいと考えてたんだけど…。もうちょっとオマケというか、笑いを取るのに欲が出てきて。
で、トークの後に後半の超絶ギャグストーリー部分が生まれたわけです。

――全然知りませんでした! 今では、ギャグ満載の後半部分の方が主力という気がいたしますが…。

元帥:今というか、建國されてからすぐにそうなりましたね。
そもそも人をビックリさせるのが好きなんで、前半のシリアス部分も、トーク部分も“お題”と考えて、更に予想を上回ることできたら面白いかなと。

それでとんでもなく収拾不可能な状況にまでしておいて、全てが伏線で綺麗にオチが付いたら…きっとビックリしてもらえるかなと!
これを“元帥マジック”と呼んでおります(笑)。

――式典を観た方は、皆さんその“元帥マジック”にハマると思うのですが…、そういう発想はいつどんな時に生まれるんですか?

元帥:んー、地味〜〜〜〜〜な作業ですよ(笑)。とてもここでは言えないような…。
自分でバラバラにパズルのピース作っといて、延々「合わ――ーん!」と叫んでるような作業です(笑)。

でも根底にあるのは、やっぱりトークであって、後半もお芝居に見えるけど、シチュエーショントークに更にストーリーを加えたようなもので…たぶんその点が、劇団じゃないよって言いたくなるとこなんでしょうね。

――その思いが、今月発売される『第14帝國トーキングシアター〜お魚になった元帥〜』に繋がっていくのでしょうか?

元帥:まさに原点回帰だね。DVDを出すって決まった時に、一番やりたくなかったことが、ステージをそのまま撮ったDVDを出すことで。
それだと“作品”ではなくて、“作品の記録”になってしまうから。DVDだからこそ楽しめる作品に仕上げようと。

当初は完全に映画として作ろうかと考えたんだけど、それも普通過ぎて第14帝國らしくない。で、シチュエーショントークを軸にすることにしたんです。

――DVDの前半は、映画とステージを融合させたような展開ですよね。

元帥:現在の時の流れを映画で、回想をステージの映像で表現してますね。それが段々一緒になっていきますが。

ただ、映像って何でも出来てしまうので…。ステージで急に人が消えたらビックリするけど、映像だと合成で出来るから誰もビックリしない。そういうところに落とし穴があるのかなと。

お金かけた映画って、凄いんだけどなんかビックリはしない。それはお金かけて期待通りの凄い空間を表現してるからだと思うんです。逆に制約を設けて、それを逆手にとったアイデアで勝負する。そうすると今までに見たことないようなものが出来上がる!…低予算で(笑)。

――途中からは、式典同様シチュエーショントークとバラエティ的な演出のオンパレードになりますね。

元帥:一番気にしたのは、レンタルDVDショップなんかで第14帝國を知らない人が、このDVDを手にとってくれた時にどう思うかなってことで…。
僕がその立場でも「なんだろこの人たち、借りてみよ」って思うものにしたい…いや、「買おう!」ってなるのが一番いいんですけど(笑)。

シチュエーショントークとバラエティ企画とストーリーが絡みあって進むのは、ちょっと興味が湧くかなって。最後にちゃんと一本のストーリーにまとまるところは勿論大事にしてます。

――同時にCDもリリースされますよね?

元帥:そうなんだよ!ミュージシャンではないので…アイデンティティー崩壊の危機なんだ(笑)。人前で歌うのなんて罰ゲームくらいだと思っていたのに、なぜ全国レベルで罰ゲームをせねばならないのかと!

しかもタイトルが、 内容が決まってない時期に「タイトルを決めてください」と言われ、「いま元帥がパッと思いついたものでいいですから!」って言われて。で、『やれって言われたのでCDにしてみました』という大変メッセージ性の強い、作り手の心境が手に取るようにわかるタイトルにしてみました(笑)。

――タイトルからして第14帝國らしいタイトルだと思います(笑)。

元帥:「第14帝國らしい」ってのは大事かも? 軍隊だからね、自分たちのテリトリーで戦うのは戦争の基本(笑)。

ミュージシャンではないなら、何をするべきなのか?突き詰めた結果、一曲目は軍服で歌ったら面白そうな曲。二曲目はストーリー性のある曲になりました。

一曲目の「3秒で答えろ!」は、つい真似してみたくなる、忘年会や新年会で困った時に便利な一曲。歌詞もとても覚えづらい単語の羅列なので、覚えて歌えば、ちょっと自慢できます(笑)。

ちゃんと振付も軍隊らしく“ライフルドリル”(ライフルを回転させる儀仗隊の演武)なども考えたので、PVとか作りたいね。忘年会には間に合わないかもしれないけど、新入社員歓迎会でほうきをライフルに見立ててやっていただけたら嬉しい!

――たしかに軽快なテンポの1曲目と比べると、2曲目の「午前3時の青年」は、ジャズ調で曲調もずいぶん違いますね?

元帥:そうですね。2曲目はストーリー性重視だったので歌詞が伝わりやすいようにしたら、ジャズ調になりました。でも今回、僕には作詞は無理だなと改めて思った(笑)。普段2時間半くらいのストーリー作ってると、3.4分の中にストーリーを押し込めるのはとても難しい!

内容は、世を儚む20歳の青年と、希望に燃える80歳の老人の対比で…僕はオチがつかない話は苦手なので、ちゃんとオチがつくように作ったのだけれども。
こっちもPV作ろうかな?とても絵本的になる。うん、それで“みんなのうた”に売り込もう(笑)。

――CDの大半を占めるドラマCDパートは本領発揮だったのではありませんか?

元帥:いやいや、それが(笑)…何気にお家芸のように見えて一番悩みましたね。

声だけのドラマとなると、声だけだからこそできることをやらなきゃって気になるもので(笑)。普通にドラマを声だけでやるっていうならDVDやステージでも出来ますし。どうしたら面白くなるのかなって考えて…まず、出演人数をグッと絞りました。

そうすると少ない人数という制約が生まれて物語が一気に面白くなる。「8時だョ!全員元帥」という作品を物語のベースにしたんですけど、本来人数が多い物語を少ない人数で声だけでやろうとするからとても面白い(笑)。

聴いてもらえればわかりますが、その場で色々変更しつつ収録してますから、LIVE感満載です!

――このドラマCDの一番の注目ポイントはどこでしょうか?

元帥:「8時だョ!全員元帥」は、タヌ吉ってタヌキと旅するような作品なんだけど…、声だけならタヌキも表現できるし、タヌキが化けるとこも面白くなる。

ボーナストラックとなっている「タヌ吉の告白」は、収録現場で思いついて、その場で書いて収録し直したラストシーンなんです。だから今までの式典にも全くない秘密のストーリーになってます。

あ、今回タヌキの鳴き声が「たぬ〜ん」だってこと初めて知りました(笑)。

――それは必聴ですね!そして、年が明けまして、1月5日には名古屋凱旋式典が決まっているということで…。

元帥:必ずしも新作ではないのにもかかわらず、タイトルは、「新作だよ、おっかさん」。ここに全ての謎を解くカギがある。

第14帝國発祥の地ダイアモンドホールでの名古屋凱旋式典です。この機会に是非ご入国いただきたい! Movie Project第2弾と銘打っているので、その撮影も入ると思います。DVDがどうつくられているのか、その裏側を見るチャンスだ!

――この作品にもたくさんの“元帥マジック”が隠されていそうですね。最後に今後の第14帝國の意気込みをお願いします!

元帥:マジシャンっていうのは涼しい顔をして、さも簡単そうに難しいことをやるでしょ? 
だから我々もそこは同じだと思ってるから。さも簡単そうにやってるように見えたら正解!影できっと苦労してるのだ(笑)。

CDは“聴くもの”、DVDは“観るもの”で、式典は“参加するもの”……その条件を最大限に活用して、一番面白いものを作っていこうと思います。

何もこのCDやDVDの売れない時代に‥‥‥って話もあるけどさ(笑)。
どうしたら売れるかを考えるのもとても大事なことなんだと思うけど、どうしたら誰も思いつかないような新しい笑いをお届けできるか、それを全力で追求してみたいな。
そして“みんな笑顔になる”それが僕の考えるエンターテイメントなんです。

■INFORMATION

楠本柊生帝國元帥“第14帝國”
名古屋凱旋式典
Movie Project第2弾
「ライヒス・リッター Vol.28〜新作だよ、おっかさん〜」

2014.1.5(SUN)

爆笑必至のトーキングシアターDVDを世に送り出した第14帝國が、
満を持して挑むMovie Project第2弾!「新作だよ、おっかさん」。

戦場で手にした一通の手紙が全てを巻き込み、ついに帝國の運命までも翻弄する…

柊生元帥の誕生日にライヒス・リッターが集結!
一夜限り繰り広げられる名古屋凱旋式典。
記念すべき夜に、歴史の目撃者となろう!

[会場]Club ダイアモンドホール
[演出・脚本] 楠本柊生
[出演]楠本 柊生 帝國元帥

★チケットの購入はコチラ![ http://j.mp/IN3H7o ]

【リリース情報】

■CD「やれって言われたのでCDにしてみました」
発売:2013年12月18日(水)
価格3,000円(税込)

■DVD第14帝國トーキングシアター「お魚になった元帥」
発売:2013年12月18日(水)
価格3,980円(税込)

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