ベトナム外務省は25日、同国の漁船が中国との間で領有を巡って争議がある西沙諸島(英語名:パラセル諸島)の周辺海域で中国船に銃撃を受け、出火したとして「強烈な抗議と損害賠償請求」を表明した。中国国営・中国新聞社が同件を報じた。中国ではそれまでに、同国海軍の艦船が「放水銃」を使ったとの報道はあったが、「銃撃」とは伝えられていなかった。

 西沙諸島の周辺海域で13日、操業していたベトナム漁船のQNg96382が中国・国家海洋局に所属する監視船の中国海監262と同263に追い払われた。

 QNg96382はその後、再びもとの海域に戻り操業を続けた。引き返そうとしていた時に、中国海軍の「万寧」が接近し、30分にわたり追跡。「万寧」は警告射撃を行い、信号弾も発射した。その結果、QNg96382は出火したという。「万寧」は状況を確認し、追撃をやめたという。

 ベトナム外務省は、中国側の行為をベトナムの主権に対する「深刻な侵害」と非難。中国側に対して、事実をただちに調査することと「この種の過ちと非人道的な行為に対して、真剣に対応すること」を求めた。ベトナム側によると、「過去数年の間に、ベトナム人漁民数百人が中国側に逮捕された」という。

 中国でも20日ごろからは、QNg96382の“違法操業”と中国側の取り締まりについては報道されていた。ベトナム国内で発表されたQNg96382の船長の談話として掲載。中国の公船に追跡されたりしたが、最後には「中国海軍の1239艇が猛烈なる放水銃発射を行った」と伝えた。(編集担当:如月隼人)