いよいよ今週末、Jリーグが開幕する。昨季は広島が優勝、2位が仙台という、開幕前に誰も予想しなかった結果になった。今季も戦力的に抜け出たチームはなく、混戦になるだろう。

優勝予想はかなり難しいけど、僕は浦和、柏、鹿島の3チームを推す。

まず、浦和。おそらく一番多くの人が優勝候補に挙げるだろう。それだけオフの戦力補強が効果的だった。広島から森脇、仙台から関口、鹿島から興梠(こうろき)、柏から那須と各ポジションに実力者を獲得。選手層は間違いなくリーグナンバーワンだね。アジアチャンピオンズリーグ(ACL)とのかけもちも問題ないだろう。あとは課題の決定力不足を解消できるかどうか。かつてのエメルソンやワシントンなど、パンチ力のある外国人ストライカーがいない今の浦和が、どうやってゴールを重ねるのか。そこに注目したい。

一昨季優勝の柏も期待できそう。昨季はスタートでもたついたけど、夏以降はしっかりと巻き返した。攻撃の軸となるレアンドロ・ドミンゲス、ジョルジ・ワグネルのブラジル人コンビは健在。さらにロンドン五輪に出場した鈴木、韓国代表のサイドバック、キム・チャンス、そして、昨季ACLで活躍したストライカーのクレオという即戦力3人を獲得した。あとは昨季序盤のつまずきの原因となったACLとのかけもちをどう乗り切るかだね。

そして、個人的に一番注目しているのが鹿島。昨季は終盤まで残留争いに巻き込まれたけど、本来はそんなチームじゃないし、今季は昨季のJ2得点王ダヴィが加わった。札幌、名古屋、甲府と、これまで所属したすべてのチームで結果を残してきたストライカーだけに期待していい。また、野沢の復帰で中盤に厚みが増し、大迫、柴崎といった将来のチームを背負う若手も勢いがある。

特に、大迫は昨季の終盤から自信に満ちたプレーを見せているし、柴崎は日本代表の“ポスト遠藤”に最もふさわしい選手じゃないかな。この“ロンドン五輪落選コンビ”のリベンジにも期待したいね。新監督は8年ぶりの復帰となるトニーニョ・セレーゾ。Jリーグを熟知している。浦和や柏と違ってACLの影響がないだけに、名門復活の可能性は十分ある。

優勝争い以外で注目したいのは、やっぱり得点王争い。2年連続のタイトルを狙う佐藤寿(広島)を筆頭に、前田(磐田)、豊田(鳥栖)、そして、Jリーグに戻ってきた李(FC東京)といった日本人選手が、ダヴィ、ケネディ(名古屋)、ウィルソン(仙台)といった外国人を上回れるかどうか。そして、そのなかなら、誰が日本代表に選ばれるか。ザッケローニ監督になってからの日本代表では前田が重用されているけど、FWは結果がすべて。ほかの選手が「打倒、前田」という気持ちを持って、ザッケローニが目を向けざるを得ない結果を出すと面白い。

今年の日本サッカー界のスケジュールを見ると、前半はW杯最終予選、コンフェデ杯と日本代表の話題が続く。問題は日本代表の活動が一段落する後半だ。そこでJリーグが存在感を発揮できるかどうか。そういう意味ではJリーグの理念である地域密着も大事だけど、ファンの層が厚く、全国区のメディアが取材に足を運びやすい浦和、柏、鹿島という関東の強豪3チームが、いいサッカーをやって盛り上げてくれるといいんだけどね。

(構成/渡辺達也)