※画像は久保田武蔵 公式サイトより

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 誰も知らないのに世界4冠王者……格闘技関係者・ファンの間で「久保田武蔵」が妙な話題となっている。

 唐突に「引退試合」として発表されたのは、12月27日にディファ有明で行われる格闘技大会「ICHIBAN」のメインイベント。熱心な格闘技ファンですら聞き覚えのない久保田武蔵なる人物と、元K-1選手のサム・グレコの一戦が組まれた。チケットはSRS3万円、RS2万円など、千数百人しか入らない小会場にしてアリーナクラスの高値設定だ。

 ほかにアンダーカードなどの発表はなく、手品や大道芸が行われるという怪しい大会だが、関係者の注目の的となっているのは、この謎のチャンピオン、久保田の素性だ。

 本人公表のプロフィールによれば俳優やモデル、モノマネなどを行っている自称マルチタレントで、「634エンタメ体操」なる運動教室ではなんと月に500クラス、15万人もの生徒数がいるとしている。そして、総合格闘技においては「世界4冠王者」で、昨年9月にアメリカで「MMA HALL OF FAME」なる殿堂入りまで果たしているというのだ

 だが、ネット中を探し回っても過去にタイトルマッチひとつ行った形跡はなく、国内のアマチュア大会などへの参加歴も見当たらず、あるのは本人のブログによる結果報告のみという様相だ。

 ブログでは、2002年にアメリカに渡ってデビュー戦を30秒でKO勝ち後、04年からAACやCOCMMAなる初耳のタイトルを4つ獲得したとしているが、総合格闘技を30年以上取材しているという格闘技ライターでさえ「そんなタイトルは聞いたこともない」と話す。

「唯一、確認できる試合が09年9月、プロレス団体バトラーツで行われたムエタイ王者との“日本初試合”で、2分ほどでアキレス腱固めで勝っているんですが、これがお世辞にも格闘家とは思えない動きで、足をきめる際の動作もおぼつかず、相手も黙ってきめられるのを待っているかのよう」(同)

 実際、対戦相手のタイ選手を知るムエタイ関係者に問い合わせたところ「本人は久保田さんから“試合経験が一度もないので”と言われ、ギャラ数万円、真剣勝負ではない形で行ったものだった」という。

「実は、この試合を真剣勝負と聞いて関わった団体側の人たちが激怒するという一幕もあったんです。今回試合するグレコにしても、彼の友人によると“エキシビションマッチ”だというし……」(同)

 ブログでは09年、フィラデルフィアで試合を行って7秒でKO勝ちしたとあるが、試合前だとする写真はビジネスホテルの一室のようにしか見えず、試合の様子を写したものも一切なし。それどころか、報告された帰国時間が時差やフライト時間を計算すると辻褄の合わないものだったり、そのためネット上では久保田の格闘技に関する経歴の大半が“自作自演”ではないかと疑われている。

「彼が誇示しているチャンピオンベルトも、ネットで金を出せば制作できるサイトがあるものばかり……まるで格闘技ごっこのチャンピオン」(前出ライター)

 久保田は千葉県館山市でエンタメ大使、ふるさと市民などに任命されており、主催イベントには市が補助を行っている話まであるのだが、仮に経歴が詐称だとすれば市側はその“自称経歴”を鵜呑みにした可能性もある。この件について館山市役所に問い合わせたところ「担当者が不在で詳しいことは分かりませんが、格闘技の世界チャンピオンと聞いていたので……」と戸惑った様子だった。

 浮上した疑問点について、大会の連絡先や久保田のメールに質問を投げたが、電話に出る者もメールの返答もないままだ。