もはやFacebook上では仕事関係の人とつながらない、ということは難しい。ならば、開き直って上司や取引先へのセルフプロモーションの場と考えよう

写真拡大

先月、世界のユーザー数が10億人を突破したFacebook。実名が前提で、出身大学や所属する会社などを書く欄もあり、会社関係の人とつながることもできる。そのため、若者の間で仕事に生かしている人が増えているという。

都内に勤めるサラリーマンたちが語る。

「SNSくらい仕事と分けたいと思っていて、取引先から友達申請が来たときはイヤだなーと思ったんです。でも、相手の投稿を見ていたら共通の趣味があることがわかって、リアルでの会話がはずみました」(広告代理店)

「上司がやたらゴルフの話題を投稿したことがあったんです。そうしたら同期が『ボクも最近ゴルフ始めました』ってコメントつけて、『じゃあ、こんど一緒に打ちっぱなしに行こう』みたいな話になってました……。ちょっと焦りますね」(飲料メーカー)

Facebookは上司や取引先と親交を深めるいいチャンスである一方で、仕事関係者とSNSでつながることには危険性もある。

「自分の抱えているプロジェクトについてグチったら、上司にバレて降格されてしまいました」(広告代理店)

「周りが残業してるなかでこっそり抜け出して友人と食事していたら、友人がその写真を勝手にアップしてしまい……。同僚にバレて、しばらく白い目で見られて大変でしたよ」(大手マスコミ)

しかし、こうしたリスクが伴うとはいえ、もはやFacebook上では仕事関係の人とつながらない、という態度は難しいようだ。人材コンサルタントの常見陽平氏は苦渋の表情でこう語る。

「う〜ん……個人の考え方次第ですが、もし上司から友達リクエストが届いたら、受けざるを得ないですよね。悩ましいところです」

『Facebookで就活に成功する本』(自由国民社)の著書があるライターの高橋暁子氏も、こう指摘する。

「Facebookで検索にひっかからないようにすることはできません。友達になっていない人にも、名前と写真は見えてしまう。それに、投稿を『公開』設定にしていると、“いいね!”を押されると友達の友達まで見えてしまうし、友達限定にしていても人づてに漏れることもある。だから本当に閉じるということはできないんです。むしろ、仕事関係の人とつながらないことは機会ロスだと考えるべきです」

機会ロスとは売り上げの機会を失うこと。会社員にとっては、胸にグサッと刺さってくる。

「上司や取引先とつながれば、有益な情報が入ってきたり、人間関係が拡大したりするチャンスもある。それを逃してしまうのは損です。Facebookは自分の公の顔だと考え、セルフプロモーションのために使うのがベストのSNS。ごく親しい人との交流はツイッターで鍵をかけて行なうなど、ほかのSNSを使う手もあります」(高橋氏)

Facebookは開かれたもの。完全にプライベートをさらけ出すのではなく、仕事とのつながりを意識して、逆に活用していくのがベストなようだ。

(取材・文/戎 小次郎 イラスト/服部元信)

■週刊プレイボーイ47号「日本企業での現実的なFacebook活用法 “ソーシャル社畜術”のボーダーを探せ!」より