尖閣諸島問題によって緊張が高まっている、日中関係。中華圏の芸能界にもその影響は及んでおり、「香港や台湾の映画スターたちも、10月20日に開幕する第25回東京国際映画祭に参加できなくなってしまった」と台湾メディアが報じている。

 今年の東京国際映画祭では、郭富城(アーロン・クォック)主演の『浮城』が上映予定となっていたが、急きょ中止に。また林志玲(リン・チーリン)主演の『スイートハート・チョコレート(原題:甜心巧克力)』は、上映されるがチーリンの日本行きのスケジュールがキャンセルになったとのことだ。

 台湾メディアは「東京国際映画祭には出席しないが、10月4日開幕の第17回釜山国際映画祭には、数多くの中華スターが出席予定」と比較しており、「張柏芝(セシリア・チャン)、章子怡(チャン・ツィイー)、馮徳倫(スティーブン・フォン)、彭于晏(エディ・ポン)が韓国に向かう」と報告。また「梁朝偉(トニー・レオン)と郭富城(アーロン・クォック)は、スペシャルゲストとして招かれている」ことを伝えている。特に9月10日に日本映画『一九〇五』(黒沢清監督)への出演を発表し、中国人から「愛国心がない」と失望を浴びたトニーは未契約を主張し、出演をうやむやに。その後釜山国際映画祭への出席が明らかになり、「日本映画界から韓国へ方向転換した」と注目の対象となった。

 また台湾メディアは、日本に留学経験のある香港の歌手・王友良(アイバン・ワン)のコメントを紹介。「僕たちの仕事にも影響があり、損失を出しています。クリスマス時期に予定していた日本でのイベントは、すでに中止が決まりました。そのイベントは政治とは無関係で、騒動の渦中の今だって日本旅行を続けている香港人もいます。でも中国人の僕が支持をするのは、やはり中国。日本人の中には、不景気に見舞われている現状や中国との不仲を嘆き、日本政府に不満を持っている人々がいるとも聞きました。僕はただ、平和な方法での解決を願うだけです」と話していたというアイバン。中華圏の芸能人の声を代弁しているのかのようなコメントだ。(編集担当:饒波貴子・黄珮君)