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 いよいよロンドンオリンピックである。しかし、北京オリンピックをスルーした過去が示すように、実はあんまりオリンピックのサッカーには魅力を感じない管理人であった。

 しかし、今やオリンピックに向けた予選や親善試合も放送する時代である。予選で見かけたスペイン代表はなかなか魅力的だったし、ワールドカップに向けた重要な大会と位置づけているブラジル代表の本気を見ていると、これは面白い大会になるかもしれないと予感している。

 そして、イギリス代表である。サッカーの世界でこの代表に出会えるとは夢にも思わなかった。実際には、イングランドとウェールズの連合軍になっている。そして、オーバーエイジ枠にはギグス。いよいよの世界デビューである。ロンドンでの開催なので、サッカーで盛り上げたい大人の事情なんだろう。そんな両チームの親善試合である。

 ■やはり強いブラジル

 最初に感じた違和感はネイマールとフッキの位置であった。
 
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 フッキは右サイドを主戦場としているのだが、今日は左サイドで起用されていた。で、ネイマールはツートップの片割れという位置でプレーしていた。流れの中でこのような位置になる可能性はあるが、この位置が継続されていたので、ブラジルは狙いを持ってこの形にしてきた可能性が高い。

 じゃ、ネイマールの空けた位置をどのように守るのかと眺めていると、いかんとも中途半端であった。トップ下のオスカルが右サイドに流れることもなく、オスカルが中盤に下りて、ボランチがサイドにスライドすることもなかった。放置である。

 わかった!!!罠を仕掛けたんだと言いたいところだが、イギリスは左サイドから果敢に仕掛ける様子もなければ、左サイドから攻撃を仕掛けたとしても、ブラジルがその空いたスペースを使うそぶりもなかったので、謎は深まるだけであった。

 イギリスの攻撃を眺めていると、GKを使ったビルドアップが非常に目立った。ジョー・アレンがボールを引き出してボールを運んでいく。なので、この位置にネイマールとレアンドロをぶつけることで、中央の密度をブラジルは高めたかったのかもしれない。

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 ここにオスカルも参戦するんだからね。なので、イギリスはこうする。

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 イングランド代表と比べて、準備期間がどうなのかは非常に気になる。ただ、イングランド代表よりも、志が高いことをやっている印象である。ワントップがスターリッジなので、ハイボールを蹴っても仕方ないので、このようなサッカーになるというのは必然といえば必然である。

 で、ボールが運べたらサイドに展開してSBを上げたり、スターリッジをサイドに流れさせて勝負する。空いた中央のスペースにはクレヴァリーを走らせることで、解決させる仕組み。なかなか良くできているが、攻撃に迫力はない。

 この戦い方はボールを保持することを前提としている。だから、ラムジーよりも、ジョー・アレンが重視されているのかもしれない。ボールを保持するには、ボールを奪い返す必要がある。何度も何度も。それができなければ、絵に描いた餅である。

 序盤こそは、イギリスが立ち上がりの勢いで試合を優勢にすすめたが、気が付けば、ブラジルが優勢に試合をすすめていた。その理由は簡単で、ブラジルからボールを奪えなかった。

 ブラジルはCBも試合を作れる。ファンは怪しいが、この位置にはチアゴ・シウバが控えている。サンドロとロメロもそこまで無理のできる選手ではないが、チアゴ・シウバのロングボールで問題を解決してしまう。チアゴ・シウバにプレスをかければ、中央の4枚で簡単にプレスをかわしてしまう。

 なので、イギリスは自陣からプレスをかける状態に移行する。そうなると、ブラジルはオスカルとネイマールが自由に動き始める。ポジショニングとボールを受けた後の無理も効くので、彼らから攻撃が構築されていく。空っぽの右サイドは走れラファエルで誤魔化していた。

 横幅のある攻撃と柔軟なポジショニングによって、イギリスを破壊にかかるブラジル。いつもはカウンターで決定機をつかむことが多かったのだが、今回は流れの中から得たセットプレーをしっかりと決めることで、イギリスを突き放すことにあっさり成功する。

 イギリスはなぜにボールを奪えないんだろうと眺めていると、単純な個人能力の差が大きい。ネイマールとか異常。左サイドにいたためか、今日がやたら周りを尊重するフッキがとても印象に残っている。そして、オスカルである。わざと相手の視野に現れて、相手を動かして味方にスペースを与える動きを得意としている。もちろん、ボールを持った時もなかなか上手い。

 そして、CBの差である。オープンになりやすいCBが試合を作れると圧倒的なアドバンテージである。ゾーンディフェンスの最初の約束事はボールホルダーにプレスをかけるである。相手のCBに常にプレスをかけ続けるのは、さすがに難しい。ゾーンではなく、マンツー気味にいかないとね。

 ちなみに、イギリスはCBが試合を作れないので、こんな場面もあった。
 
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 普通なように見えるが、CBが試合を作れるとこうなる。

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 普通は2人もCBまでいかないけどね。

 得点場面を振り返ると、セットプレー二発。フッキが弾丸を蹴るふりをしてからの、ネイマールのクロスを頭で合わせる。2点目はフッキの突破をリチャーズがエリア内でファウル。PKをネイマールが決めた。

 後半もブラジルのチャンスが多かったが、イギリスのレギュラーキーパーが登場し、ファインセーブを連発していた。なお、途中から出てくるのが、ルーカス、パト、ガンソなので、層も厚いブラジル代表であった。さらに、チームも完成度も高いので、期待が高まるところである。

 イギリスはやりたいことは理解できるだが、このメンバーでそれができるかどうかといったところ。なまじ、ギグスを呼んでしまったから自分たちでどうこうするしかない状況に陥ったのがいいのかわるいのか。だって、ギグスを中盤の中央で使って、引きこもりしてもしょうがないでしょう。ただ、守備を突き詰めれば、よくなりそうなので、本戦に期待する。

 ■独り言

 というわけで、今日から再開します。オリンピックはブラジルとスペインを中心に見られればいいなと思っている。あとは女子サッカーを実は見たこと無いので、見てみようかなと。でも、更新の中心はJにする予定です。海外のプレーシーズンは基本的にスルーします。来季はどんなふうに見るか、そして更新するかそろそろ考えていきますね。