試合 :キリンチャレンジカップ2012
開催日:2012年7月11日
結果 :引き分け
スコア:「1−1」
得点者:杉本健勇 ルーカス

○ U−23日本代表

FW:大津祐樹
MF:永井謙佑 東慶悟 清武弘嗣
MF:扇原貴宏 山口螢
DF:徳永悠平 山村和也 鈴木大輔 酒井宏樹
GK:権田修一

FW:杉本健勇
MF:山崎亮平 大津祐樹 齋藤学
MF:米本拓司 村松大輔
DF:徳永悠平 山村和也 鈴木大輔 酒井宏樹
GK:権田修一


前回のエントリーでも書いたように、経験→成長→個のレベルアップ→チームのレベルアップ、このベクトルを作れるかどうか、そこしか無いんですよね。個人的には、本番前に1つ膿が出せた、とプラスに考えています。テストマッチでのミスは、本番で起こり得るミスを事前に知る事ができた、という事ですよね。従って、この苦い経験を経て、本大会では絶対にやらないようにする、それが最も重要な事だと思います。

ミスから失点、という経験。次の試合からはそれを絶対にやらない、という成長。それが、個のレベルアップ、という事。そしてそれが、チームのレベアップとなって行く、という事。若い選手たちですから、経験不足からのミスは当然ある。若い人たちを育てるには、とにかく忍耐強さが必要。そして、信じる心が必要。従って、本大会では同じ失敗を繰り返さないだろう、という事を、強く信じていたいと思います。

それからもう1つには、ミスや失敗ではありませんが、このチームの以前からの課題である、攻撃のリズムが短調である、という事も、少しでも本大会までには修正して欲しいと思います。ミスが生まれるのは、最後のところで連携が噛み合わないのは、最後のところでフィニッシュがブレてしまうのは、プレースピードが速すぎるから。フィニッシュへ向かって、右肩上がりのグラフのようにスピードが加速し続けてしまうから。

どんな選手であっても、トップスピードで正確にプレーするのは難しい。1つ1つのプレーを正確に行ったり、1つ1つの連携のタイミングをピタリと合わせたり、そのためには、その時には80%ぐらいのスピードで行う必要がある。時には止まってボールを持つ事も必要。個々もそうですし、全体としてもそうですが、波形のようにスピードをコントロールする事。走るスピード、パスワークのスピード、それだけで相手を振り切ろうというのは無理だと思います。

例えば、永井にしても、いくら世界に通用するスピードがあるとは言え、常にスピードでスピードで、という事だと、しばらくすれば相手に対応されてしまう。また、もしスピードで振り切れたとしても、最後のセンタリングやシュートのところまで余裕が残っていなければ、どうしてもその最後のプレーが精度を欠いてしまう。ボールコントロールを自ら難しくしてしまうし、スピードが上がれば上がるほど視野が狭くもなってしまう。

この試合の1つの収穫として、オーバーエイジの徳永が良いパフォーマンスを見せた、という事があったと思いますが、やはりこの世代の中でプレーする徳永は、とても落ち着いてプレーしているように感じました。ニュージーランドも五輪に出場してくるチームですが、この試合ではそこまで本気で戦っていなかった、という事もありましたし、そのような相手に、やはり日本は少し空回りしていたように思います。

決してチームが上手く行っている訳ではない。また、トゥーロン国際では良い結果を出せなかった。そして、落選した選手との違いを示さなければならない。それが危機感や焦りになっている、という事は充分に察し得ますし、心情的にも理解できますが、やはりもう少し冷静に戦う必要があると思います。試合は90分間で相手より1点でも多く得点していれば勝ち。また、無失点ならば絶対に90分間あるいは120分間で負ける事は無い。