新宿のニコンサロンで従軍慰安婦をテーマにした写真展を開催した韓国人写真家の安世鴻(アン・セホン)さんが、会場元のニコンに抗議文を送ったことが分かった。

写真展は、開催の1カ月前にニコン側から一方的に中止を通告されたが、その後、会場を使用させるよう命じる仮処分を東京地裁が下したことから、結局予定通り開催された経緯がある。

新聞やメディアで騒動が大きく取り上げられたことから高い注目が集まり、展示期間中(6月26日〜7月9日)は7000人以上の来場者があった。しかし、安さんは9日、一方的に中止を通告したり、準備過程でもさまざまな妨害があったとして、ニコンの取締役社長宛で抗議文を提出。自身のホームページにも、抗議文の内容を掲載した。

抗議文では、ニコンが施設の管理権限を使いいつでも写真展を中止する事が出来ると威嚇したと明かし、「自ら選んだ審査員によって決定された写真展を中止・妨害する逸脱行為は、全世界を見ても探すことのできない」、「写真家に過大な損害を残した」と批判した。

さらに、会場利用の仮処分が下された後も、「ニコンは不道徳な弁護士を雇い、写真展を妨げ写真家と観客の人権を侵害した」と主張。妨害の具体的な内容は、弁護士のサロン内常駐、安さんの行動監視、サロン内での撮影・録音、来場者の持ち物検査、安さん自身によるギャラリー内での撮影禁止、パンフレット配布の制限などだという。

抗議文では、ニコンの妨害行為によって多大な精神的被害と物質的被害を受けたとし、ニコンに次のような内容を履行するよう要求した。

1. ニコンは、安世鴻写真展開催に対する自らの説明・対応の過ちを認め、全世界の写真家たちに公開謝罪すること。
2. ニコンは、「表現の自由」を抑圧する行為を中止し、ニコンサロンで行われる写真展に対して同じような対応・行為をしないことを約束すること。
3. ニコンは、安世鴻の大阪アンコール写真展(9月13日〜19日)が予定通り行われるよう積極的に協力すること。
4. ニコンは、一方的な写真展取り中止通告と妨害により生じた精神的、物理的被害を安世鴻に対して補償すること。

安さんは9月にも大阪で展示を開催する予定なのだが、抗議文には「ニコンは積極的に協力すること」と書いてあることから、ニコンは今後しばらく、安さんからさまざまな要求や謝罪を求められる可能性は高い。ニコン側は抗議文について、「内容を精査し、対応を決めたい」とコメントするにとどめた。

参照:安世鴻のニコンに対する抗議文
参照:世界日報

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