クロアチア対スペイン 〜抗うビリッチ〜
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もっとも話題になった試合である。この試合が2-2で引き分けになれば、両チームのグループリーグ突破が決まるからだ。試合前にはかなりの話題になったが、試合を見ればどこ吹く風である。注目はクロアチアがこの状況にどう抗うかというものであった。
■スペインを倒すために
イタリアにも炸裂したビリッチ対策だが、この試合ではスタメンがまるで違った。SHに起用されたのはSBができる選手たちである。がっつり守る気満々である。また、前線に起用されたのはモドリッチでイェラビッチではなかった。空中戦の的は地味にブレイクを果たしたマンジュキッチのみとなった。
プレスはハーフライン付近から。相手のGKから始まるようなビルドアップを邪魔する雰囲気はない。よって、ハーフライン付近からクロアチアの守備網対スペインのボール回しの対決が何度も繰り返されることとなった。
クロアチアの狙いとしては中央でオープンな形を作らせない意識が強かった。FWとMFの挟み込みの意識が強く、センターサークル付近でのクロアチアのプレスの強度は尋常でなかった。
裏へ放り込むには距離があるので、スペインはブスケツをDFラインに入れて、相手の役割をぼやかしにかかるが、クロアチアに動揺はなし。試合が序盤だということもあって、ピケとセルヒオ・ラモスの出番はもうちょっと後の話になる。
マンジュキッチとモドリッチはブスケツ付近の選手を捕まえては、相手を挟み込むことで、中盤の圧縮に成功していた。特に誰かを捨てることなく、ピケたちが上がってくれば、マークを外してどんどん捕まえに言っていた。
なので、サイドから攻撃を展開していくスペイン。そうなると、対するはSB軍団である。守備時の縦のカバーリングもばっちりであった。なので、3人目が来ないとちょっと厳しそうだが、誰かがヘルプに来る気配はない。フェルナンド・トーレスはどこへ消えた。
なので、やっぱり中央からだとスペイン。ここで、スペインは仕掛けどころを発見する。相手は4-4-2でセットしているので、この位置から狙いをつけてきた。
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ただ、こうなると、新たな問題が発生した。イニエスタやシルバがバイタルに侵入するんだけど、サイド攻撃がSBの単独特攻になる。クロアチアの守備力は決して悪くはないので、サイドからの仕掛けに期待が持てなくなるスペイン。そうなれば、クロアチアはサイドの選手を中央に寄せて、バイタルエリアを圧縮させる。
ちなみに、バルサの0トップだと、このバイタルに顔を出す選手が固定されないので、相手からすると捕まえにくくなる。スペイン代表の場合はシャビ、イニエスタ、シルバしかいないから厳しい。セスクもここまでなかなか降りてこない。ただ、チームの仕組みが違うんだからしょうがないんだけど。
というわけで、クロアチアは危ない場面は数えるほどにスペインの攻撃を抑えることに成功していた。耐え切れなくなったピケとセルヒオ・ラモスのミドルシュートが状況を端的に表している予感。で、クロアチアはマンジュキッチに放り込みながら、モドリッチが孤独にアタックを仕掛けていた。こちらもカシージャスには届かなかったんだけど、モドリッチの個人でスペインに挑んでいくさまはかなりえぐかった。たった一人でスペインに勝つつもりか??みたいな意味で。
後半になると、クロアチアがプレスの開始位置をいじり始める。時には、カシージャスまで追っかけたり。こうなれば、スペインのペースになりそうなのだが、クロアチアも状況に応じて守備を使い分けるので、スペインもなかなか試合の流れをつかめない。また、こういうときのイニエスタもどこかで引っかかってしまう場面が多かった。
そこでモドリッチが輝きを放つ。カウンターからのアウトサイドクロスをダイビングヘッドはラキティッチ。これをカシージャスがファインセーブ。さすがである。ここでクロアチアが得点を決めていれば、試合が終わった可能性が高い。それくらい重要なセーブであった。
というわけで、トーレス→ヘスス・ナバス。カウンターの場面ができそうなのに交代させられるトーレスの切なさ。ヘスス・ナバスの役割はサイドから個人で仕掛けてくれというものである。別に放り込みを連発するわけではないので、ネグレドやジョレンテは必要ない。クロアチアの守備の意識がサイドに偏ればOKみたいな。
ヘスス・ナバスは積極的なドリブルによる仕掛けや裏への飛び出しで攻撃にことなる流れをもたらした。今まではサイドでボールを貰っても攻撃をやり直す選択が多かったが、やはり仕掛けられると違う。ただし、コーナーキックを得ても高さでは勝てないので、低いクロスを入れたり、フィニッシュに絡むための飛び出しを入れていくヘスス・ナバス。
クロアチアも黙ってはいない。引き分けだと怪しいということで、イェラビッチとペリシッチを投入。守備で貢献していたプラニッチとヴィダが退場。大丈夫かなと眺めていると、スペインのゴールに迫る場面が明らかに増えたので、まあOKなのだろう。勝たないと駄目ならこれで正解である。
スペインはシルバ→セスクを投入。餅は餅屋。ただ、クロアチアもブコイェビッチ→エドゥアルド。これはやりすぎでないかクロアチアと眺めていると、この試合で初めてあんなにフリーでボールを受けれる状況ができてしまう。ボールを受けたのはセスク。セスクのスルーパスはイニエスタを経由して、最後はヘスス・ナバスが決めて、スペインが先制した。
というわけで、パワープレーで抗うクロアチア。それをボール回しで交わすスペイン。さすがである。プレティコサの執念の攻撃参加も届かずで、クロアチアが無念の敗退となった。できれば、延長戦のある試合でみたい対戦であった。
■独り言
初戦に見たときはどうなることかと感じたクロアチアだったが、強豪を相手にすると化けるのがちょっと面白かった。時代は進化するとともに、東欧のブラジルなんてニックネームにあぐらをかいているわけではないのだと。ここにクラニチャルがいないのが残念でならない。そして、この試合でモドリッチが下克上を果たしていたら、最高にかっこ良かったんだけど。
スペインはちょっときつかったかなと。負けるイメージはそんなになかったろうけど、得点を奪えそうなイメージもそんなになかったんじゃないかな。ボールを保持していれば、この攻撃を続けていればそのうちに、、なんて感じはなかったし。また、そういう状況に対して、何かを仕掛けていくのがバルサに比べると、足りない。この足りなさをどうするかで、がっつり強豪に守られたときの答えがでるかどうかになりそうである。
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