ストーカー男の幼稚すぎる「自作自演」

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演劇型のストーカー監禁事件



「演劇型」のストーカーとでも言えるのだろうか。2012年6月5日付の北海道新聞に掲載されたストーカー監禁事件の記事を読んで、そう思った。



ストーカー監禁容疑の男 再逮捕 助けにきたと自作自演」という記事によると、「石狩市の20代の女性が脅迫文を送られたとして札幌北署にストーカー被害を相談した後、車で連れ去られ、わいせつ行為をされ」る事件が起きた。そして、「同署は4日、強制わいせつ致傷、逮捕監禁などの疑い」で41歳の無職男性を再逮捕した(男性は脅迫罪で起訴済み)。



男性には、「5月3日午前1時ごろ、石狩市内の女性宅の駐車場で、帰宅した女性にモデルガンを突きつけ、女性の車で札幌市中央区の空き家に連れ去り、約4時間にわたって監禁した上、わいせつな行為をして軽傷を負わせた疑い」が持たれている。男性は容疑を否認。



ここまで読むと、女性を脅し、監禁し、わいせつ行為を行うという、一般的なストーカー事件のように思える。だが、ここから先が劇場型なのだ。「容疑者は女性の元交際相手。覆面をして女性を監禁した後いったん現場を離れ、再び現れて助けにきたように自作自演したという」のである。



あくまでも身勝手なストーカー男の心理



女性の読者に聞いてみたい。たとえば、夫や彼氏が覆面をして帰宅したら、別人に見えるだろうか。顔だけ見れば、一瞬、誰なのかわからなくなるかもしれない。しかし、背丈や肉付きを見て、声を聞けば、すぐに夫や彼氏だとわかるであろう。男性の側にしてみれば、サプライズやギャグとして覆面をかぶったとしても、すぐに本人だとバレるのを覚悟してかぶると思うのだが。



ストーカー男の場合、元は被害女性と交際していて、直前までわいせつ行為を行っていた。そんな男が、いったん現場を離れた上で、覆面をして「助けに来た」と言って現れたとしても、その男とストーカー男が別人などと女性が思うわけがない。覆面をすれば、女性が自分のことをヒーローだと思ってくれると、男は勘違いしたのであろうか。



脅迫した上で監禁し、わいせつ行為に及んだというストーカー男の手口は、卑劣であり、容疑が認められた場合には断罪されるべぎてある。そして、覆面で変身して「助けにきたように自作自演」するという行為は、幼稚園の学芸会並みの幼稚なものだ。



ところで、ストーカーの被害に遭っている女性の中には、おおげさになったり騒ぎになったりするのを嫌って、警察のダイヤル「110」に電話をかけられない方もいると思う。そういう方は、「警察総合相談」の窓口である「#9110」という短縮ダイヤルに電話をかけることをお勧めする。「110」よりは、しっかりと相談に乗ってくれるようなので。





(谷川 茂)