左より三池監督、妻夫木聡、武井咲
 1973年から1976年に掛けて連載され、老若男女すべての者の胸を焦がした原作・梶原一騎、作画・ながやす巧の名作コミック(講談社プラチナコミックス所載)を、30年余の時を経て三池崇史監督が映画化、炎のように燃え上がる熱い青春の物語を描き切る『愛と誠』。妻夫木聡演じる超不良・太賀誠に、ヒロイン武井咲演じる余りに純粋なお嬢様・早乙女愛が常軌を逸した献身を捧げる。運命で結ばれた二人を、CG、アクション、熱い涙、迫力のセリフ、魂の音楽で描いた、今までに見たことのない純愛エンタテインメントが完成。6月16日の全国公開に先駆けて、19日には本作の完成報告会見が開催され、妻夫木聡、武井咲、三池監督が登壇した。

妻夫木「バカみたいに当たる映画ではないとは思う」

 妻夫木や武井をはじめ、主要キャストが歌と踊りを披露する本作。脚本を読んだ感想について、妻夫木は「なかなかふざけた映画だなと思いましたね(笑)。三池さんの昔の作品はいっぱい見てたので、色んな意味でバイオレンスさを出して、アクション部分でも素晴らしいものを撮ってくれると思うし、唯一“歌って踊って”というのはまず見たことが無いので、すごく面白いことになるんだろうなと。原作のコメディというかパロっている部分も、宅間さんの力で大いに活かされた脚本だったので。

バカみたいに当たる映画ではないとは思うんですけど、みんなに楽しんでもらえるかなって思う…すいませんね。いや、本当に面白いんだけど(笑)。純粋に『なんだ?この映画!』って楽しんでもらえる、娯楽だなと、すごく感じました。よく分からない汗かいてきちゃった(笑)。他人事みたいなんですけど、自分が想像してた以上に面白かったんですよね。微妙ですよね、今言ってること(笑)。こういう映画って説明できないんですよ。“純愛エンターテインメント”とか言ってるじゃないですか、全然純愛エンターテイメントじゃない! どこがやねん!みたいな所があるので。三池さん悪ふざけしちゃったなー、みたいな感じの映画ですよね。大阪でしばらく撮影やってたので、ちょっと井筒節が(笑)。」と笑顔で述べ、会場中から笑いがこぼれた。

 続く武井も「私も分からなかったです(笑)。映画というものをあまり知らなくて、映画の台本を読むのも新しかったんですけど、本当に『映画ってよく分からないなー』というのが第一印象で。監督と妻夫木さんにお会いしてお話する時間があったんですけど、すごく緊張してたんですよ。前の仕事で時間にちょっと遅れたことにすごくビビっちゃって、その印象がすごく強いです。お話とか聞いてたんですけど、最後までよく分からなくて(笑)。でも撮影中は、歌も踊りも、その場で三池さんに付けて頂くお芝居が多くて、すごく毎日楽しみながら頑張ってました。早乙女愛を演じてみて、最後にはちょっと感動するようなストーリーになっていたので、私はすごく純愛映画だと思いました。好きな映画です。」と述べ、男女の視点により異なる感想を述べた。

武井「あまりしっかり台本を読まなくていいのかな?」

 また「31歳にもなって高校生役を演じて本当にすみませんでした」と冒頭で挨拶した妻夫木と、現在18歳の武井が役柄も含めてお互いの印象を聞かれると、妻夫木は「そこ(年齢)強調しないでもらっていいですか(笑)! 咲ちゃんは今19だよね? まだ18か! いつ年齢を聞いても『もうそろそろ19だっけ?』みたいなことを言っちゃうんだよね、俺。それぐらい堂々としていて、俺が18の時なんてゲーセンで遊んでたなって感じなんですよね。なんでそんなにしっかりしてるんだろうな?というぐらいに監督の要求にもすごく応えられるし、頼りになる姉さん的な部分を持ってたりするんですよ。逆に、僕が甘えちゃった所があったと思います。役的には、早乙女愛というのは、一方的なんですよ。尋常じゃないんですよ。確実に使えないんですけど、キ●ガイっぽいんですよね。一方的すぎる純愛さがまた可愛いんですけど、純愛すぎてウザイみたいな、その境目を上手く演じてて。可愛らしくもあるし、面白いなという絶妙なバランスを演じてたのはすごいなと思いましたね。」と一回り以上年下の武井を絶賛。

 対する武井は「アクションシーンがほとんどだったので、毎回現場に行く度に、妻夫木さんはボロボロになってて。『大丈夫ですか?』と声を掛けたくなってしまうような姿だったんですけど、妻夫木さんの学生姿を間近で見られたのはとても特別なことだったかなと思います(笑)。本当にお芝居ではたくさんのことを勉強できましたし、台本を読んで現場に行くというのも、あまりしっかり台本を読まなくていいのかな?って思わせるような現場でした(笑)。その場で三池さんから言われること、感じたことをそのまま演じようかなと。」と述べ、会場中が大爆笑となった。すかさず妻夫木が「いや、現場で台詞が色々変わったりしたので、そういう意味です。彼女は真面目にやったんですよ! 三池さんが色々と結構、現場で変わることが多かったんですよね。」とフォローしたが、三池監督は「そのフォロー、手遅れだから(笑)」と述べた。

妻夫木「『新婚さんいらっしゃい』みたいなことになっちゃって…」

 質疑応答の後は、武井演じる愛と妻夫木演じる誠との純愛度を診断する『愛と誠』運命の恋判断センサーが登場。武井がフライングで一人先に押してしまったり、二人が押してからも若干のタイムラグがあったものの、「愛と誠」の文字がピンク色に点灯。会場の空気を読んだ妻夫木が「もう苦笑いじゃないかよー。だから『やりたくない』って言ったんだよ。これ、デッカすぎじゃないか。こんなものを作る予算があるんなら、頼むから現場に回してくれよ! どんだけ深夜まで撮影したと思ってるんだよ。皆さんも今日でどういう映画か十分に分かって頂けたかと思うんですけど、これからどうやっていくか、もう一回宣伝会議を開こうかなと思いました。すみません、見切り発車で会見とかやっちゃって。最後には『新婚さんいらっしゃい』みたいなことになっちゃって…。次はちゃんと考えて来るので、あとちょっとですが、よろしくお願いします。」と現場でのムードメーカーぶりが容易に想像できるほど、最後まで場内を盛り上げた。

 

 武井は「これが映画初出演なので、とても良い作品になったなと思ってます。是非たくさんの方に観てもらいたいなと思います。よろしくお願いします。」と述べ、終始笑顔に包まれた会見が終了した。

映画『愛と誠』公式サイト

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