慰安婦碑がソウルの日本大使館前に建設され問題となっているが、李明博大統領は日韓首脳会談で突然、慰安婦問題を持ち出した。過去問題(歴史)と相まって、韓国人の皇室に対する感情は今も微妙だという。産経新聞ソウル駐在特別記者の黒田勝弘氏が解説する。

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 韓国にとって過去がらみは昭和天皇だから、今上陛下や皇太子ご夫妻にはことさらの感情はない。国交正常化後、首相として初めて訪韓(1983年)した中曽根と、韓国大統領として初めて訪日(1984年)した全斗煥のころ、皇太子ご夫妻の訪韓が計画されたことがある。美智子妃の病気で実現しなかったが、当時、韓国では「日本皇太子里帰りへ」などと好意的に報じられたこともある。

「日本王家のルーツは韓国の百済(346〜660年)王家」と信じられているためだ。

 ちなみに韓国マスコミは「皇は王より上だから気に食わない」といって、日本の皇室は「王室」に、「天皇」は「日王」に書き換えている。こんなことは世界で韓国しかない。

 500年続いた李王家は、日韓併合(1910年)により滅亡した。日本支配からの解放後も復活しなかった。この“恨み”もあって韓国人の皇室への感情は今も微妙だ。「皇」への拒否感もそこからきている。ただ最近の“女帝”論は女権拡張などフェミニズム的関心から話題になっている。

 と同時に経済的余裕のせいだろうか、伝統重視の日本社会の象徴あるいは「韓国にない華やかなロイヤル文化」として天皇家の風景をうらやむ雰囲気が若い世代にはある。

※SAPIO2012年2月22日号