一回、武田を挟みましょう!

賃貸アパートを借りるとき、格安物件には裏があるもの。激安の賃料に目を引かれてみれば、重要事項告知において衝撃の事実が明かされるという展開。「前の借主が自殺しましてね」「ほら、そのチョークのあたりで」「いやぁヒドイもんでしたよ」などと説明をされれば、借りる側も逃げ出したくなるもの。かといって、いつまでも貸さずにいれば大家も商売あがったり。そこで、一回誰かを挟むという発想が生まれるのです。

極端に短い期間の賃借でないかぎり、事故発生後の次の次の賃借人への告知は不要。誰かが一回、前の住人の影に怯えつつ部屋を借りてくれれば禊が済むという寸法なのです。「格安でもいいから借りて」「半年でいいから借りて」「タダでもいいから!」というオーナーの必死な声。それを当て込んで、事故物件だけを渡り歩き、格安の大都市ライフを送るツワモノもいるのだとか。何となくサバンナの掃除屋みたいですね。

これはつまり、現状どうにもならない場合は一回誰かを挟んで禊を済ませれば、事態が好転するということ。横浜DeNAベイスターズを見て下さい。中畑ですよ。中畑。僕はこの報せを聞いて「挟んできたな」とDeNAの巧みな手腕に驚嘆したもの。オーナーが変わったことで、世間からは無駄な期待が高まっている現状にあって、チーム力は別に上がりもせず、年取ったぶん落ちているのが実態。「期待されて失敗する」という自分の評価が一番落ちるパターンにあるのが、今の横浜DeNAベイスターズなのです。

その点、中畑監督なら無問題。そもそも落ちるほどの評価もないアレでありますし、本業はテレビタレント。野球解説もさして要求されず、バラエティで野球の話題が出たときのコメント要員程度の扱い。中畑監督がキッチリと「あぁヒドイ草野球だ」「これは采配云々の問題ではない」「長期間じっくりと立て直しを図れる新監督を」という空気を作り出せたなら、いよいよ本物の監督の出番。野球にも敗戦処理という言葉があるように、事故物件の処理をする監督は必要なのです。

ならば今こそ、武田修宏。理論不明、知識不明、指導力不明、人格不逞。しかし、贅沢を言っている場合ではありません。速やかに事故処理を済ませなければ、永久に名将を招くことはできないのです。時間が経てばそれだけ傷は広がります。大体、3人も4人も断ったあとじゃ、何もなくても「火中の栗」みたいじゃないですか。そんな危険地帯にフワッと飛び込める男がどこにいるものか。武田しかいないでしょう。逆に、武田のあとならどんな糞監督でも拍手で歓待されるというもの。その空気が生まれて初めて、まっとうな交渉ができるのです。

瞼を閉じれば浮かび上がる風景。真っ赤に染まったスタンドから、頬を紅潮させた5万人の大ブーイング。「辞めろ」「消えろ」「去れ」などド直球の横断幕がピッチを取り囲み、大判の武田顔写真には真っ赤なバツ印。野太い罵声を背中に浴びて颯爽と歩く武田監督は、「負けちゃったね」「相手が強いよー」「点を取れば勝てる!」など落ち着いた受け答えで囲み取材を華麗にこなすと、ひるむことなくゴール裏へ。目に入る女の子たちに「キミ可愛いね」「試合中から気になってたんだ」「俺の部屋で次戦のスタメン考えようよ」と声を掛けていく…。これなら次の監督も大層やりやすいに違いありません。「J2に落としたのは武田」ということで、世間も納得してくれるでしょうから。

ということで、監督人事での迷走がつづき、武田就任が現実味を帯びてきた最近の浦和レッズについてチェックしていきましょう。



◆武田はS級ライセンス持ってるぞ!S級ライセンス持ってるぞ!持ってるぞ!


2009年、2010年のシーズンを指揮したフィンケ監督の退任後、なかなか監督人事が定まらない浦和レッズ。2011年シーズンはOBのゼリコ・ペトロビッチ監督が就任するも、チームの成績は低迷し、10月にはペトロビッチ監督を解任。ユース監督の堀孝史監督に指揮を託し、辛くもJ1残留を達成。来年こそはという想いで、新監督探しに着手したのでした。

新監督候補として白羽の矢を立てたのは、前日本代表監督・岡田武史氏。社長自ら連日出馬しての交渉、年俸1億円&複数年契約の提示。「誠意は金額」という言葉もありますが、これ以上ない誠意で岡田氏との交渉にあたりますが契約には至りません。中国や中東からもオファーが届いているという岡田監督は、どこで仕事をするかはさておき「浦和さんはお断り」という姿勢を固めたのです。

そして、次に白羽の矢を射ち込んでやったのが前G大阪監督の西野朗氏。当初から実は第一候補だったという触れ込みで、西野氏に誠意を尽くす浦和。しかし、いかんせん交渉の時間が足りません。シーズン終了までG大阪の指揮に集中する西野氏と、新体制で明るい未来を早く見たい浦和。西野氏は素晴らしいオファーに感謝しつつも、時間的な制限がありパワーが出ないと難色。今後どんな仕事をするかはともかく、「浦和さんはお断り」という姿勢を12日に示したのです。

↓この発表には、何故かセレッソ大阪のクルピ監督が「西野さんにはお金を払ってでも『浦和に行って』と言いたいよ。なぜなら僕は行きたくないからね」と残念な表情!
J1・C大阪のクルピ監督が12日、監督人事で迷走を続ける浦和に“お断り”の姿勢を示した。西野氏が就任を断ったことを伝え聞くと、驚きの表情で「西野さんにはお金を払ってでも『浦和に行って』と言いたいよ。なぜなら僕は行きたくないからね」。今季限りで退任後はブラジルに帰国する方向だが、正式な去就は未定。当然、正式なオファーは届いていないが、浦和にとっては笑えない冗談で断りの意思を見せていた。

http://www.daily.co.jp/soccer/2011/12/13/0004679690.shtml

クルピ:「やだよー、俺やだよー、行きたくないよー」
クルピ:「話来たらやだよー、西野さんやってよー」
クルピ:「お金なら払うからさー、頼むよー、西野さんやってよー」

これは新しいムーブメントの予感www

オファーのない人は先に「お断り」だけ発表しようずwww






徐々に選択肢もなくなっていく状況。他チームは着々と新監督の招聘を進めています。C大阪はブラジル人のセルジオ氏(越後ではない)の就任が確定的。サンフレッチェはOBの森保氏が就任。磐田は森下新監督がすでに熱血指導を開始。G大阪は呂比須氏で世間の話題をかっさらい、鹿島はジョルジーニョ氏などビッグネームを候補に入れて年内決着を目指しています。J2でさえ元FC東京監督の城幅氏のような実績ある監督が着任しているところ。急がなくては…!

↓ということで浦和新監督候補に長谷川健太氏が急浮上!

浦和の来季監督に元日本代表FWで、前清水監督の長谷川健太氏(46)が急浮上した。一時は今季限りでG大阪監督を退任した西野朗氏(56)の就任が決定的となっていたが、急転、西野氏から断りが入ったことで方向転換。

http://mainichi.jp/enta/sports/soccer/news/m20111213spn00m050019000c.html

浦和:「射てー!射てー!白羽の矢を射ちまくれー!」
浦和:「名のある武将なら誰でも構わん!」
浦和:「ピシュ!ピシュ!ピシュ!ピシュ!」


↓さらに浦和新監督候補にミハイロ・ペトロヴィッチ氏が急浮上!
振り出しに戻った監督選定作業。橋本社長は「短いより、長い方がいい」と、長期間任せられる人材という方針を貫くと明言した。西野氏と並行して、前清水監督の長谷川氏も候補とした。その一方で、国籍については「いろいろな話がある中で、範囲を狭める必要はない」とし、こだわってきた“日本人限定”は解除。06年途中から今季まで広島を率いたペトロビッチ氏が次期監督候補に急浮上した。

http://www.daily.co.jp/soccer/2011/12/13/0004679692.shtml

浦和:「射てー!射てー!白羽の矢を射ちまくれー!」
浦和:「名のある武将なら外人でも構わん!」
浦和:「ピシュ!ピシュ!ピシュ!ピシュ!」






ここで断られるようならば、もうなりふり構ってはいられません。まずは日本人&J優勝経験のある松木安太郎氏、早野宏史氏へ当然のオファー。つづいてはワールドカップベスト4の実績が光るラモス瑠偉氏へオファー提示。洒落で釜本邦茂氏、洒落で原博実氏、三浦泰年氏と混同しての三浦俊也氏、「チームに熱を」という口説き文句で熱でも出たかのようなオファーを秋田豊氏へ提示。だんだん捨て鉢になったところで柱谷兄→柱谷弟という「どっちでもいい。どうでもいい。GMはクビだけど監督してみる?」なオファーを発射。何故か自分から立候補してきた都並敏史氏に整理券2番を渡すと、いよいよ満を持してアレへのオファーを開始。

赤いマフラーをなびかせ、オープンカーで交渉会場に乗りつけた武田は、いつも持ち歩いているハンコで白紙の契約書に一発捺印。「いつでも結婚できるようハンコは持ち歩いている」というコメントと、満面の笑顔のフロントの写真は、その日最大の小ネタとして全国を駆け巡ります。サポーターも意気に感じたか、新監督就任会見を開く前にホームスタジアムで「辞めろ集会」を開始。夜のニュースに登場した武田が「まだヤってないから辞められないよねぇ」「一回ヤろうよ」「試しに、ね、ちょっと試しに!」などと発言するようすを、電光掲示板でパブリックビューイングする…これは非常に盛り上がってくるではありませんか。

正直な話、誰もが一度は「武田のチーム」を見てみたいはず。ただそれが自分トコだと嫌だというだけの話。ならば、このようにお断りがつづく今こそ、夢を叶えるチャンスでしょう。武田は今このときもサッカーを勉強中。高校サッカーからJリーグ、欧州各国のリーグ、クラブワールドカップなど全国を飛び回りながら精力的に取材をつづけているのです。案外ちゃんとしてる可能性もあるでしょう。ゼロじゃあないのです。可能性は。チャラ系のキャラや、チームメイトを蹴り飛ばして元気に謹慎する暴れん坊と、武田が妙な化学変化を起こす…そんな2012年が訪れるよう期待したいものですね。



すぐクビにしてもらって構いませんので、一度武田にチャンスを与えてください!