中国では、下水に浮く油や生ごみなどから抽出した「地溝油(下水油)」が食用油として出回っていることが大きな問題になっている。オランダ航空は、この「産油国・中国」に目をつけた。11月23日に担当者を山東省青島市に派遣して、サンプルを買いつけた。航空燃料として利用する考えだ。大衆網が報じた。

 オランダ航空は、世界で初めて「廃油」を燃料の成分として利用した実績がある。現在はアムステルダム−パリ路線で利用しているという。

 青島市ではまず下水油20トンを購入し、実際に燃料として利用する。使用に問題ないと判断すれば、中国で毎年12万トンの下水油を購入する考えだ。

 オランダ航空関係者によると「中国で下水油が大量に流通している」との情報に注目した。青島市内のバイオテクノロジー企業と連絡を取り、同市市政府も交えて協議を続けてきたという。

 オランダ航空の担当者は、「技術面の問題だったのは中国の下水油の質」だったことを明らかにした。オランダで使っている廃油は、一次使用における廃棄から、燃料としての精製までが管理されているので質がよいが、中国の場合には「勝手に下水に流されたり、生ごみなどに混ざっているので、雑物をひとつひとつ取り除く面倒があるからだ。

 ただし、中国側から提供された精製済みの「下水油」は、航空燃料として利用できる基本的な9項目の検査にすべて合格したという。

 中国側は当初、「下水油」から精製した航空燃料の価格を1トン当たり6500元と提示した。「原料収拾コスト」に1トン当たり4500元、加工に1500元、運送や検査費も加えて6500元との計算だ。

 オランダ航空側は当初、1トンあたり3000元と主張した。大きな開きがあったが、その後の交渉で「価格問題で双方は基本的に一致した」という。(編集担当:如月隼人)