ユヴェントスのアンドレア・アニェッリ会長は、FWアレッサンドロ・デル・ピエーロにとって、今季がユヴェントスでのラストイヤーになると語った。つまり、セリエAが閉幕する来年5月13日、ユーヴェがコッパ・イタリア決勝に進出した場合は20日で、デル・ピエーロとユヴェントスのストーリーは終わるということだ。

となれば、「ラストイベント」がこれから続いていくということである。デル・ピエーロが最後にナポリの本拠地サン・パオロでプレーするのは11月6日。そしてサン・シーロでのプレー、ローマとの試合、新たな本拠地ユヴェントス・スタジアムでのパフォーマンスと、ラストイベントは進んでいく。

そして、サポーターたちの「行脚」も始まるだろう。バスケットボールのマイケル・ジョーダンや、テニスのロジャー・フェデラーと同じように、無敵に見えるこういった強いチャンピオンたちは、ファンから崇拝され、他のファンから憎まれるからだ。

彼らのキャリアが終わりに近づくと、人々はその周囲に集まる。アーティストが舞台を去る前に、最後の一描きを見たいと誰もが望むからだ。ユーヴェを去ってから、デル・ピエーロはイタリアでプレーすることはないだろう。あるとすれば、国外でのプレーとなる。

いずれにしても、デル・ピエーロはまだ満足を味わうことができる。ユーヴェの背番号10には、そのための時間がまだあるのだ。すでに記録はほぼすべて彼のものだが、それでもまだ手直しすることは可能なのである。

現在、デル・ピエーロのユヴェントスでの出場試合数は682。今季のリーグ戦6試合のうち、アレが5試合でプレーしていることを考えれば、700試合出場は達成可能だろう。

もっと難しい、難し過ぎると思われるのは、通算300ゴールである。現時点では284ゴール。欧州カップ戦がなく、レギュラーの座を手にしていないだけに、今からシーズン終了までに16ゴールを決めるのは、難しいことだろう。

決勝点は133ゴール。これについては、更新可能だ。PKでのゴールは62得点。それから、デル・ピエーロの「お得意様」を選ぶ必要もある。ラツィオ、パルマ、シエナ相手に13ゴールを決めており、次にローマから12ゴールを挙げている。だが、フィオレンティーナ相手の11ゴールは、すべて決定的な得点だった。コッパ・イタリアでの23ゴールという数字もある。これも増やすことができるはずだ。

だが、最も素晴らしい数字は、彼を見るためだけにスタジアムを訪れるサポーターの数となるだろう。アーティストがプレゼントしてくれる感動は、記録ブックには収められず、それ以上の価値があるからだ。