ソフトバンクの孫正義社長がぶち上げたメガソーラー(大規模太陽光発電所)構想を巡って、またぞろ「平成の政商」の異名を裏付けるような“真夏の怪談”が囁かれている。
 この構想に飛びついた菅前首相は酷評され失笑を買ったが、もう一人含み笑いを噛み殺すのに懸命なのが鳩山由紀夫元首相だというのだ。
 「メガソーラー建設には広大な土地が必要なことから、北海道苫小牧市東部が最有力視されています。この土地にソフトバンクが着目、7月14日に上京した苫小牧市の岩倉博文市長と会談した孫社長は『苫小牧に大変関心を持っている』と、すこぶるご機嫌でした」(経済誌記者)

 その辺りから話は一気に生臭くなる。苫小牧は鳩山元首相の選挙区で、市長の上京直前にはソフトバンクの嶋聡社長室長が地元紙のインタビューに応じ、候補地として苫小牧の名を挙げている。実は嶋室長、ソフトバンクに転じる前は民主党の衆議院議員で、在任中は鳩山グループに所属。政治の世界では親分、子分の間柄だ。
 一方、苫小牧も誘致に向けシタタカに動き出した。鳩山元首相の強力なブレーンとして知られる日本総合研究所理事長の寺島実朗氏を、(株)苫東の経営戦略委員会委員長に抜擢し、新たな経営戦略として「メガソーラーの誘致」を掲げたのである。

 それにしても、なぜ鳩山元首相は“メガソーラー狂奏曲”の一方の主役として登場したのか。永田町関係者が苦笑する。
 「彼は政界からの引退を口にした揚げ句、これをアッサリ撤回したことで政治家として大きなミソをつけ、地元に一切恩恵をもたらさなかったからです。一発大逆転を狙いたい彼にとって孫社長が唱える大構想は、まさに渡りに船だったに違いありません」

 それにしても、前首相と元首相を手玉に取る孫社長、まさに「平成の政商」である。