世界的な株安の連鎖に歯止めがきかない中、韓国では個人投資家などの自殺が相次いでいるという。韓国で報道されているだけでも、ここ10日間ほどの間に、株価の暴落が原因の自殺者は5人にのぼる。

報道によると18日午後5時ごろ、37歳の男性Aさんがトラックの車内で死亡しているのを取引先の職員が発見した。車内には燃えた練炭があったことから、練炭自殺したとみられている。警察によると、Aさんは最近、株で数億ウォンの損失を抱え悩んでいたという。

18日午後10時には、37歳の男性Bさんが忠清南道・牙山市のモーテルで死亡しているのが見つかった。Bさんの妻が、夫から自殺をほのめかすメッセージを残したまま帰宅しないことから警察に通報。救助隊が出動したがすでに死亡していた。現場からは「先にいってごめん」と書かれた遺書が見つかった。Bさんは定職に就いておらず、最近は株で1億ウォン(約700万円)以上の損失を出していた。

これに先立ち、17日には忠清北道・清州市で、46歳の男性Cさんが自身の住むマンション13階から飛び降り自殺した。警察によると、現場には「こういう結果を出すために株投資したのではないのに、ごめん」と書かれた遺書が残されており、株の失敗を苦に自殺したものとみられている。

また、14日には釜山・北区で主婦Dさんが、株で6000万ウォン(約422万円)の損失を出し、借金を苦に自殺した。10日には、大邱・寿城区のマンションで証券会社職員のEさんが自殺。Eさんは、「管理している顧客の株式や、満期オプション証券が暴落し、莫大な損失が出た。家族と知人に申し訳ない」とのメッセージを残していた。

株の暴落で自殺が相次いでいることを受け、韓国では株に失敗した投資家たちの心のケアが必要だとの意見が出ている。乙支大病院のイ・チャンファ精神科教授は、「株で失敗した人が、心を安定を取り戻すまでは、自尊心を傷つけるような発言は避けなければならない」と話している。

参照:投資損失悲観「自殺続出」10日で4人死亡 - SBS
参照:株価暴落で、命を絶った個人投資家たち - 世界日報

(文:林由美)

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