皆様、新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

さて、お正月といえば高校サッカーだ。このコラムを書いている時点(6日)ではベスト4が出揃い、流通経済大柏(千葉)、滝川第二(兵庫)、久御山(京都)、立正大淞南(島根)が国立へ駒を進めている。

今大会はアーセナルと契約した宮市亮(中京大中京)や二年生時点で鹿島と契約した柴崎岳(青森山田)などが目玉選手とされていたが、彼らは早々と敗退してしまい、具体的にその能力の高さを見せることができなかった。他のチームの組織力が“個”を上回ったという言い方もできる。

全体的な印象としては、攻撃的なサッカーが目立つね。世界的な潮流に乗っている感じだ。しかし一方で、どのチームもやっていることが同じという気もする。チームの色というものが昔ほど見えなくなった。

それは、地域性のなさにも表れている。かつては、よく「西高東低」といった言葉で表現されるほど、地域間で戦力のバラつきがあり、それがまた高校サッカーのおもしろさでもあった。しかし近年の傾向を見ると、全国の私立高校が同じように有力選手をかき集め、地域差はほとんどなくなった。立正大淞南も、大阪などの関西出身の選手で占められている。

伝統がない、と言ってしまうと誤解を招くかもしれないが、必ずしもそれを否定できない一面もある。というのも、その高校の伝統は、基本的にそれぞれ一人の指導者によって支えられているからだ。優秀な指導者が去っても強さを維持することに成功している高校もあるが、先生が辞めたことでとんと姿を見せなくなった高校は多い。学校の歴史じゃなくて、先生の歴史なんだ。クラブではない、「学校の部活」の難しいところだね。

Jユースの誕生と浸透によって、高校サッカーのあり方は毎年変化してきている。高校サッカーがこれから先どのような変化を遂げていくのか。育成の未来を考える上で避けて通れないポイントだね。(了)