こんな放水では熱中症は防げませんぞ!

2009年7月11日、その日は日本サッカーにとって放水記念日でした。まずフクアリで行われた千葉VS神戸の試合では、悪童・大久保嘉人さんが試合中に何らかの苛立ちを募らせ、給水ボトルの水を主審にぶちまける事件が発生。両手でチカラいっぱいボトルを絞り、自身のやや後方に位置する飯田主審めがけ、すれちがいざまに水をぶちまけた大久保さん。「シュートは適当でも飲食物を投げるときは正確」という大久保イズムを感じさせる珍事件でした。

そしてもうひとつ。新潟はビッグスワンで行われた新潟VS川崎戦。こちらではピッチの水撒き用スプリンクラーが景気よく放水をスタート。ちょうど目の前のスタンドに位置どっていた川崎サポめがけ、消防車ばりの苛烈な勢いで水まきサービス。かなりの角度まで首振りをするスプリンクラーは、左右に何度も何度も行ったり来たりを繰り返し、川崎サポをずぶ濡れにしたのです。新潟ならではのこの心遣いは「涼しそうだな」「もっとやれ」「現地には行かないけど」と無関係のサポーターから大きな人気を博したのです。

そんな放水記念日から一年。

今年も新潟ビッグスワンに乗り込んだ川崎サポ一同に、嬉しい出迎えが。この日のために万全の調整を重ね、スプリンクラーはまたしても放水を開始。一年ぶりの再会を喜ぶかのように、再び川崎サポーターをずぶ濡れにしてくれたのです。旗を振り、声を上げ、どっと沸くスタジアム。「涼しそうだな」「もっとやれ」「現地には行かないけど」と他地域のサポーターたちも大喜び。甲子園のかちわりと並ぶ夏の風物詩として定着させたい…そんな思いを多くの人が共有したのでした。

しかし、残念なことも。

かねがね指摘されてきたことですが、ビッグスワンは陸上競技兼用のスタジアムであり、ピッチからスタンドまでの距離は遠め。スプリンクラーが芝生水やりの機能を持つ以上、ピッチ沿いに設置されるのは当然ですから、スタンドまではそこそこの距離があいてしまいます。少人数ならともかく、川崎サポーターは旅館を借り切ってツアーでやってくる大所帯。スタンドの上のほうまで人が入っているのです。今回の放水でも残念ながら、上段の観客には水を届けることができませんでした。

今年の夏は猛暑が取りざたされています。熱中症で亡くなった方の数は300人を超えました。炎天下で人々が歌い踊るサッカースタジアムは、熱中症対策が急務。天然芝で展開される美しいプレーのためには、屋根つき・エアコン完備のスタジアムなどのぞむべくもありません。燃え盛るサポーター席の真ん中に「かちわりいかがっすかー」と売りに行くわけにもいかないでしょう。現実的にスタジアム側が取れる対策は放水しかないのです。にもかかわらず、この体たらく。やはり陸上とサッカーを兼用するスタジアムには無理があるのではないでしょうか。死者が出てからでは遅いのです。専用スタジアムの建設か、より強烈なスプリンクラーか。アルビレックス新潟およびビッグスワンの決断が待たれます。

ということで、熱中症が出なくて何よりだった、21日の新潟VS川崎戦の放水をチェックしていきましょう。



◆「レインガン発射準備!」「ラジャー!」「最大出力!」「撃て―!!」

昨年に続き、川崎サポーターに涼を届けたビッグスワンのレインガン。「川」というあたりに水っぽさがあるのか、「フロ」というあたりに水っぽさがあるのか、イルカのマスコットに水っぽさがあるのか、新潟サイドは昨年に続く特別放水待遇。他地域のサポーターからは嫉妬されそうな仲睦まじさを見せつけたのです。

↓2009年の川崎サポへのサービス放水動画はコチラ!


新潟:「シュココココココ!シュコココココ!」
川崎:「ぷはー!気持ちいい!」
新潟:「シュココココココ!シュコココココ!」
川崎:「夏、最高だぜ!」


↓2010年の川崎サポへのサービス放水動画はコチラ!


新潟:「シュココココココ!シュコココココ!」
川崎:「ヒャッハー!たまんねーな!」
新潟:「シュココココココ!シュコココココ!」
川崎:「夏、キラキラしてるぜ!」


しかし、2009と2010には微妙な違いが。

どう見ても2009のほうが勢いもよく、放水時間も長いではありませんか。気温を考えれば2010のほうが、より熱中症の危険性は高かったはず。なのに2010のほうがショボかったというこの現実。昨年熱中症が起きなかったことで油断したのか、あるいは過剰な経費節減によるひずみか。2階席はおろか、1階席の中段にも届かないお粗末さ。これでは熱中症対策とは言えないでしょう。

↓ビッグスワン担当者からも「タイマー設定をミスった」とのお詫びコメントが!
本日は、当スタジアムにご来場いただき誠にありがとうございました。本日、8月21日に開催されましたアルビレックス新潟 対 川崎フロンターレ戦の試合開始前に、施設管理者側のタイマー設定変更の失念という不注意によりまして川崎フロンターレサポーター様の席へレインガン(芝生散水設備)により水をかけてしまい、サポーターの方々をはじめ、大切な横断幕や荷物を濡らし大変ご迷惑をおかけしました。

お知らせ/東北電力ビッグスワンスタジアム

新潟:「シュコココココ!シュコ……あれ?」
川崎:「オイオイオイ!水止まってるよ!」
新潟:「すみません、タイマーの設定を間違えました…」





なるほど、そういう事情があったのですね。担当者が蛇口をひねるわけではなく、タイマーで操作する仕組みでは仕方ありません。僕も2時間予約すべきところを1時間しか予約せずに、番組後半が録画できなかった…なんてミスをよくしますから。来年はしっかりとタイマーをセットし、まんべんなく、長時間のサービス放水をお願いしたいものです。

↓ちなみに、試合後には中村憲剛が熱中症?になったとの報道も!
J1第20節第1日(21日、新潟2−1川崎、東北電ス)川崎は苦手としているアウェーの新潟戦で、またも黒星を喫した。(中略)大黒柱の中村は試合後に熱中症のような症状を訴え、うつろな表情で引き揚げた。

川崎“鬼門”でまた黒星…中村は熱中症?  - サッカー - SANSPO.COM

新潟:「し、しまった…!」
川崎:「オイオイオイ!お客だけじゃなくコッチも頼むよ!」
新潟:「すみません、来年は試合中もやります!」

まぁ、倒れたのがお客さんでなかったのは不幸中の幸いでした!



秋春制の場合は、さすがに寒いので温水でのサービス放水をお願いしますよ!