職場で人が育たなくなった背景には、さまざまな要因があるはずです。今回は、ビジネスパーソンの入り口論、つまり就職=採用にまつわる問題点を取り上げます。会社への入り方に、人が育たなくなった理由の一端が潜んでいると考えるからです。今回は、採用コンサルティング会社、ジョブウェブの代表である佐藤孝治さんにお話を聞きました。
佐藤さんは、先ごろ『<就活>廃止論〜会社に頼れない時代の仕事選び』(PHP新書)を上梓し、話題を集めています。(ダイヤモンド社人材開発事業部副部長・間杉俊彦)



「かつて、経済成長が続いていた頃のビジネスパーソンは、混沌に放り込まれて、なんとかする、ということを経験してきました。ひとりで米国支社を作って来い!というふうに。で、やらざるをえない。そんなチャンスがごろごろあったので、そりゃあ人は成長しますよね」

 佐藤さんは、今の状況について、まず昔との違いを挙げることから解説します。

「今は、“失敗は許されない”“予算はない”という状況の下、フロンティアを開拓するようなプロジェクトが、一定以上の経験を積んだ人に任される。それで、多くが失敗する。ほとんど、若手の出る幕がない、という感じでしょう。でも、実はものすごく人材が育っている業界もあります。モバイルの世界はその筆頭格で、利益を上げて、その利益で新しいチャレンジを若手に任せて、さらに成長している。20代に権限委譲することで、会社も人材もともに高度成長を果たしている。成長できる職場と、そうではない職場とが生まれているということではないでしょうか」

 著書『<就活>廃止論〜会社に頼れない時代の仕事選び』は、タイトルに明確に示されているように、佐藤さんの刺激的な提案が数多く、盛り込まれています。

「季節の風物詩としての就職活動は、もはや時代のニーズにマッチしなくなっています。それは日本の企業社会が大企業を中心に年功序列、終身雇用と呼ばれる雇用慣行を軸に動いていた時代の遺物であり、リストラが経営手法として定着した現状には、いかにもそぐわない。

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