メジャーリーガー・イチローとスポーツジャーナリスト・義田貴士氏によるテレビ朝日系列3日放送分『イチ流』。毎年恒例となった両者による様々な企画(料理やファッション)での対決シリーズだが、同番組内ではイチローによる技術講座が毎回行われる。

今回、義田氏は素朴な疑問として、イチローがみせる素振りの時と実際に打つ時のフォームやバットの軌道が大きく異なる点を挙げ、本人に聞いた。

ネクストバッターズサークルや打席に入る前、縦に大きく振り上げるような独特の素振りをみせるイチローだが、その理由について、「バッターというのは、この部分(胸)がピッチャーに見えていくと不利になる。早い段階でここが見えると、あまり良い結果は望めない」と話し、遠回しに解説を始めた。

続けて、「これ(胸)が見えていくということは、バットが必然的に(先に)出てくる。グリップが自然に出てきてしまう。ということは、色んな(ボールの)変化に対応しづらい。グリップは後ろにあった方がいい。常に残っていた方がいい。残っていれば可能性が生まれる。全然待っていない球でも、なんとか当てられる。でも、ここで手が出てきたら、全く可能性がない」と語る。

最後までグリップを残すことで、ギリギリまでボールに対応できる術としているイチローが、「これが出来ない人は、最短距離でバットを出そうとする人が多い」と話すと、これには義田氏も「耳元から最短でバットを出せって、僕も教えられた」と驚いた。

イチローは「最短距離で(バットを)出すということは、(グリップを残してボールを)待てないんですよ」と説明。独特の素振りは、「そのためには、ここ(縦に大きく振り上げる軌道)を振るしかない。意識の確認。そのための素振り」と明かし、また、グリップを残すことで、最後の最後までボールに対応でき、タイミングの合っていない球でもファールにすることができるため「もう1球チャンスが生まれる」と付け加えたのだった。