9日のリーグ・アン第13節で、松井大輔が所属するサンテティエンヌがホームでレンヌに0―3で敗れてリーグ戦5連敗、順位をさらにひとつ下げて降格圏の18位に沈んだ。

 もはや昨シーズンの例を引き合いには出せなくなった。昨季のサンテティエンヌは第24節まで16位と振るわなかったが、終盤の10試合で6勝4引き分けと猛スパート、5位に入りUEFA杯出場権を勝ち取った。しかしそれでも第13節までの勝ち点は18ポイントあった。今季はわずか3勝(9敗1引き分け)で8ポイントも少ない。

 レキップ紙は、数週間前から取り沙汰されているルセー監督更迭の可能性がますます高まったと報じている。3戦続けてのホームでの惨敗に、サンテティエンヌ・サポーターからは「ルセー辞任」の大合唱がこだました。

 チームの雰囲気も険悪になっている。先週はクラブのロメイエ共同会長(サンテティエンヌは会長二人制)が、サポーターを前に選手に対する不満をもらし、その発言が居合わせたル・プログレ紙の記者にすっぱ抜かれるという“事件”もあった。ジグリオッティ(今季の出場は5試合)を「怠け者」、ゴミスを「代表に選ばれてから態度が大きくなった」と批判したことがわかり、クラブ内に緊張が走った。

 松井も槍玉に上がった。「松井? ルアー(釣り用の擬餌)じゃないかと本人に訊ねたよ。ここにいるのは従兄弟か兄弟なんじゃないかってね」。

 松井はレンヌ戦のベンチには入ったが、6日のUEFA杯ローゼンボリ戦に続いて出番がなかった。開幕以来リーグ戦13試合中7試合(うち先発3試合)の出場にとどまり(UEFA杯の出場はゼロ)、出た試合のプレー時間も1試合平均42分に満たない。松井の、そしてチーム全体の苦難は、“新監督”を迎えれば乗り越えられる性質のものなのだろうか。

 レキップ紙が試合前に報じたカイアゾ、ロメイエ両会長の談話によると、ルセー監督の去就は「未決定」。ただし、ダミアン・コモリ氏をスポーツ部長に迎えることが明らかになった。コモリ氏はアーセン・ベンゲル氏の信頼を受け、これまで名古屋グランパスエイトやアーセナルに在籍したことがある。

 なお、サンテティエンヌの“新監督”候補には、アラン・ペラン前リヨン監督、元パリ・サンジェルマンのルイス・フェルナンデス氏のほか、松井にとっては朗報となり得る元ル・マン監督、フレデリック・アンツ氏の名前が挙がっている。