今年2月、「R-1ぐらんぷり」初の2連覇で話題をさらった「ザ・プラン9」なだぎ武(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)。そして彗星のごとく現れて3位を奪取し、今“完全に売れかけている”世界のナベアツ(吉本興業)。この2人に、ちょっとした共通点を見つけた。


 もともとピン芸人としても評価の高かったなだぎはR-1以来、「爆笑レッドカーペット」(フジテレビ系)などに精力的に出演。当初は“ディラン”や“ややこしや”などのブレイク作を披露していたが、ここ数ヶ月、傾向が変わってきた。沢田研二の「勝手にしやがれ」に乗せた替え歌や、鼠先輩に扮してどんな歌も「六本木 GIROPPON」に変えてしまうネタなど、非常に馬鹿馬鹿しいものが増えてきたのだ。

 一方、今年のR-1でブレイクを果たしたナベアツは相変わらずメディアに引っ張りだこで、どこに行っても3でアホになっている。しかし、唯一違う顔を見せるのが「あらびき団」(TBS系)。T-BOLANやZIGGYの歌を元にしたネタに、紐にただ絡まるだけのネタなど、2時間前にレッドカーペットで子供たちの笑顔をもぎ取っていたのとは違う人物ではないかというほどの“あらびき”な芸を見せている。

 私の見つけたなだぎとナベアツの共通点、それは、悪ふざけ。もちろん、それはプロのお笑い芸人としてのものではあるが、悪ふざけ以上にふさわしい言葉が見つからない。そしてそれは、現在のお笑いブームに由来しているように思う。

 芸人が1つのネタでブレイクすると、ネタがすり切れてちぎれるまでやらせようとするメディア。なだぎとナベアツの悪ふざけは、それに乗ってやるものか、といったような意志があるのではないか、などと考えるのは過ぎたことだろうか。すり切れる前に新しいネタを出し、それがブレイク作ほど受け入れられなくてもお構いなし。だって彼らは、お笑い芸人なのだから。

 ストイックなまでに自分が楽しめるネタを追求するなだぎと、オモローを模索するナベアツ。ブレイク作にとらわれることなく常に前を見ている彼らは、本当のお笑い芸人だ。空前のお笑いブームが終焉を迎えた時、焼け野原と化したお笑い界にすっくと立っている彼らの姿が、今から目に浮かぶ。たとえその姿を顧みる人が以前より大幅に減っていても、彼らは焼け野原でネタを披露し続けるのだろう。

(編集部 三浦ヨーコ)


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