――3曲目の「グランパ」は、時間軸でいうともっと先の話ですが、これはどのように?

たむらぱん:私はギターが弾けないんですけど、この曲は初めてギターで抑えられるコードだけで作ってみた曲なんですよ。すごくゆっくりしか弾けないので、曲の雰囲気はその時点で決まっちゃって。抑えられるコードがマイナー調だったので、雰囲気は出来上がっていたんですよね。それで、ちょうど歌詞を考えていた頃、リストラが流行っている時代だったんですよ。

――作ったのは結構、前ですか?

たむらぱん:2年くらいとか前ですかね。ニュースとかでもやたらとやっている時期があったじゃないですか。そういうのが曲のイメージと繋がったかもしれないですね。

――歌詞はその当時に書いていたんですか?

たむらぱん:そうですね。録る時にちょっと直したりはしたんですけど、イメージは大体その頃に。でも、リストラに遭ってしまった人が暖かい時に公園で鳩にパンをやりながらとか、上を見ながらボーっとしている、みたいな映像もたまに映っているじゃないですか。多分、その人は「自分がこれまでやってきたことって、一体何だったんだろう?」と思っていると思うんですけど、その暖かい公園の日なたに行って、ふと「でも、そんなことを考えるのも下らないな」と思うんじゃないか?とも思うんですよね。

――自分の将来に対して不安を感じることは、誰もがあると思いますが、そういうふうに考えることはありますか?

たむらぱん:「今が本当に良い時なのか?」とか「描いていた時なのか?」と考えるのは、20代でも30代でも40代でもあると思うんですよね。自分も「このまま続けていることって、いいのかな?」とか思うことはあるというか、あったと思います。

――過ぎてしまった過去をいつまでも悩んだり、どうなるか分からない未来に不安になるより、結局は今が大事ということなのかなと感じたのですが。

たむらぱん:そうですね。「今が良い」と気付くことがしたいなと思いますね。

――後になって、振り返った時に?

たむらぱん:「その時にも」という感じですね。「後悔をしてるんだ、今は」と思ってしまった方が、どちらにも進めない感じだから。「今が大丈夫なのかな?」と思ってしまった時に、この今の中で、いい所を見付けられる余裕があったらいいなとは思いますね。

――先日、Shibuya O-nestで行なわれたイベントではトリを務めていましたが、最後までかなりの数のお客さんが残っていましたね。

たむらぱん:そうなんですよ!グランパ世代まで(笑)。

――お客さんの年齢層は結構、高いんですか?

たむらぱん:毎回来てくれる、もうお父さんみたいな人がいっぱいいるんです(笑)。この間、「自分の曲は意外と渋谷とか原宿にいる人より、新橋辺りの人の受けが割と良いんです」と話していたんです(笑)。スーツを着ている感じとか、そういうお客さんも多いですし。

――アンコールで「ポニョ」の物真似をしていましたが(笑)、初めてたむらぱんの曲を聴いた時に、ジブリの映画とマッチしそうな世界観の曲だなと感じたんですよね。

たむらぱん:本当ですか!?ジブリはやりたいっすよね。…ポニョとかをやりたかった(小声)。今度、強引にCDを送ってみるか?(笑)。