ニッポン放送株のインサイダー取引事件で、証券取引法違反(インサイダー取引)の罪に問われた「村上ファンド」前代表、村上世彰被告らの第5回公判が11日、東京地裁(高麗邦彦裁判長)で開かれ、検察側証人として出廷したライブドアファイナンス(LDF)元社長、中村長也被告=同罪で公判中=への反対尋問が行われた。

 資金調達を担当していた中村被告への尋問は2回目。検察側は、村上被告ら村上ファンド幹部と、堀江貴文被告=同罪で公判中=らライブドア(LD)幹部が顔を合わせた2004年11月8日のトップ会談でインサイダー情報が発生したとしている。

 トップ会談に同席していた中村被告に対して、弁護側は村上被告からLD側にニッポン放送株の3分の1以上取得するよう求めたことはあったのか質問。中村被告は「そのような話が出たかどうかは、はっきり覚えていない」と答えた。

 ただ、資金調達については、04年9月に村上被告が話を持ちかけた直後にスイス系金融機関「クレディ・スイス」関係者に面会し、「もしかしたらいけるのでは、と思った」と証言した。

 午後には、村上ファンドとの交渉で、LD側の窓口を務めたLDF元シニアマネージャーの男性も証人出廷。この男性も04年11月8日のトップ会談に同席しており、検察側の質問に対して村上被告と堀江被告がフジサンケイグループの「ポニーキャニオン」や「サンケイビル」の運営など、ニッポン放送の経営権取得が前提となる話をしていたと語った。その際、堀江被告がTOB(株式公開買い付け)について触れると、村上被告は「まだ時期が早い。ちょっと待て」と言っていたと証言した。

 この日は、初公判以来初めて傍聴券の抽選は実施されず、村上被告自ら質問に立つこともなかった。【了】

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