東京地裁で17日開かれたライブドア(LD)事件の公判で、元社長、堀江貴文被告に対する検察側の反対尋問が前回に引き続き行われた。尋問内容の要旨は次の通り。


“貸し株料”部分の尋問の証拠排除申し立て

 (冒頭で弁護側の高井康行弁護士が発言を求める)前回の被告人質問で行われた貸し株料の尋問の部分の証拠排除を申し立てる。被告人の基本的人権を保障し、真相を解明するためには、被告人が防御権を十分かつ適正に行使することなしに、公正な裁判は存続しえない。刑事訴訟法第316条14項の規定もある。被告人に対しては、法廷で使う証拠はすべからく開示するのは、刑事裁判の大前提である。ところが貸し株料については藤野(晃俊)検事は、被告人質問の前日も当日も、前回の公判が終わってからも開示していない。何も証拠を提示しておらず、メールや個人口座を読み上げただけだ。このような質問の仕方は、事案の証明を証拠によって明らかにしようとしているのではなく、とにかく被告人を有罪にさえすればよいと腐心している検察側の態度の表れだ。みずほ証券への貸し株の件は、宮内(亮治)被告の調書にある。この調書では、2000万円は被告人ではなく、エッヂ(LDの前身)に支払われることになっていた。それによると、貸し株料2000万円は、エッジへのものだ。しかし、みずほ証券からエッヂに支払われる理由もないので、H氏に命じて架空の領収書をでっち上げ、2000万円のコンサルタントフィーをエッジファイナンスアンドコンサルティング(ライブドアファイナンスの前身)に計上させた、とある。宮内への検察官調書は何だったのか。(一方で)被告人質問のやり方は、何なのか。メールも銀行口座もいまだに開示されていない。本当に被告人の口座に貸し株料が振り込まれたのか。果たして、1000万円が被告人の口座に振り込まれていたのか。それにもかかわらず、藤野検事は1000万円が振り込まれているという前提で質問した。こんな姿勢では、真相解明は不可能だ。貸し株料は公判調書から削除されたい。

 (高橋久志検察官)証拠採用排除の申し立ての文書を今いただいた。弁護人の申し立ては、論理的整合性が保たれていない。被告人の供述のうそが明らかになったことで、焦っているに過ぎない。先にうその供述をして整合性が保てなかったから、証拠を排除しようというものだ。被告人が貸し株料の仕組みを知らず、貸し株料のことなど考えたことがないと言うので、記憶を喚起するために行った。

 (小坂敏幸裁判長)今後の進行について協議する。(裁判官が法廷外で協議)

 (約5分後、小坂裁判長)弁護人の主張は、誤導のおそれがあるということが主張の骨子とみている。検察官は証拠を開示する用意はあるのか。

 (高橋検察官)書面を検討したうえで、24日の夕方までに開示したい。

 (高井弁護士)被告人質問が始まる前に、意見したい。基本的に被告人には黙秘権がある。前回、藤野検事は“被告人なのだから答えよ”と受け取れる質問をしたが、黙秘権の行使は憲法上の権利だ。個別に黙秘権を行使することも当然の権利である。今回も違法に近い質問が行われるのではないかと危惧している。個別の質問に対して黙秘権を行使させることも勧告する。(つづく

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