18日、中間決算発表の席上、業績拡大に自信を示す楽天の三木谷社長(撮影:吉川忠行)

写真拡大

楽天<4755>の三木谷浩史会長兼社長は18日、東京都港区の全日空ホテル東京で開いた中間決算発表の席上、「数年以内に経常利益1000億円を突破したい」と話し、業績拡大に自信を見せた。同社は◆仮想商店街の商品とブログの連動などWeb2.0対応の進展◆2007年秋をメドとした東品川のビル(地上23階建て、仮称「楽天タワー」)への本社移転に伴う研究・教育機関の充実◆競売サイト、東京都民銀行<8339>のネット支店など新規事業立ち上げの推進──などを重要課題として取り組む。

 三木谷社長は「ソフトバンクグループからSBIが離れたことを考えると、インターネットの総合財閥企業は楽天しか残っていない」と強気の発言を繰り返しながら、拡大基調が続くことを強調。目標として掲げた今期予想の倍にあたる経常利益1000億円について「今の延長線上で早晩に達成できる」と述べ、M&Aや成長事業の強化などで実現する道筋を示した。

 また、財務体質改善の一環で、昨年買収した信販会社、楽天KCの会社分割を実施し、11月までにクレジット事業をオリエントコーポレーション<8585>に譲渡すると公表。カード事業とファイナンス事業に集中する。三木谷社長は、業績への影響については「基本合意した段階なので、コメントは控える」と回答を先送りしたが、国重惇史副社長からは「(特別損失を計上する)可能性はあるが、金額的にはそれほど大きくはならない」との説明があった。

 楽天が18日発表した2006年6月中間期の連結決算によると、売上高は前年同期の2.9倍の1053億円、営業利益は前年同期比77.7%増の192億円、経常利益は同81.8%増の208億円、純利益は同37.1%増の71億円だった。

 グループ売上の64%を占める金融部門(楽天クレジット、楽天KC、楽天証券)が大きく業績をけん引。証券事業のみで売上高が前年同期の2.4倍の238億円、営業利益は2.7倍の108億円だった。

 一方で、四半期(06年3─6月)ベースでは新規事業立ち上げに伴う人員増など先行投資がかさみ、「インフォシーク」などを手掛けるポータルメディア事業で経常損益が1億円の赤字に転落、グループ全体でも前四半期(同1─3月)の業績と比べて、経常利益が12.1%減少するなど成長の鈍化も伺えた。

 三木谷社長は、今後の業績について「第3四半期(同7─9月)以降は、リサーチ事業、広告収入が好調に推移し、投資が一段落すればすぐに第1四半期の収益ぐらいまで回復する」との見通しを示した。【了】