16日、都内で開かれた「ニューヨーク、ソウル、東京におけるホームレス支援」国際シンポジウム。(撮影:佐谷恭)

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東京ホームレス就業支援事業推進協議会は16日、同協議会の設立を記念した国際シンポジウム「ニューヨーク、ソウル、東京におけるホームレス支援」(同協議会、東京都社会福祉協議会主催)を、東京都千代田区の新霞が関ビルで開いた。

 日・米・韓の各国のホームレス支援について報告された後、パネルディスカッションでは、ホームレス問題を解決するために、行政と市民がどう関わるかなどについて意見交換した。

 パネリストとして参加した日本女子大学の岩田正美教授は「欧米では若者や家族のホームレスが見られるが、日本では中高年の単身男性が圧倒的に多い。就労支援では、ホームレス歴の浅い人が仕事に就きやすいからと優先され、ホームレス歴の長い人が残されるという矛盾もある」と話し、長期の路上生活者には就労よりも住宅の斡旋が成功する可能性を指摘した。

 ニューヨーク・マンハッタンの路上生活支援をしている米NPOコモングランドコミュニティーのロザンヌ・ハガティ理事長は「若いホームレスには仕事を与え、中高年には住宅を与えるという施策が、結果を出している。東京はホームレスの半分以上が55歳以上なので、住居支援を重視すべき。一旦、住宅に入ると、仕事をしたい、仕事を続けたいと思うようになる」と語った。

 東京ホームレス就業支援事業推進協議会は、ホームレスを対象にカウンセリングや職場体験などの支援を目的とし、国や東京都、NPOなどが連合したもので、昨年9月に発足した。昨年8月に4263人いたホームレスは、同事業や自立支援事業などの結果、3月現在で約3700人まで減少したという。【了】

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