23日、衆院政治倫理審査会の冒頭で釈明する伊藤公介元国土庁長官。

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耐震偽装問題の公表前に、ヒューザーの小嶋進社長と国土交通省へ同行し、働き掛けをしたとされる疑惑などについて、伊藤公介元国土庁長官の弁明を聴取する衆院政治倫理審査会が、23日開かれた。伊藤元長官は、偽装問題の認識について、「小嶋社長らの話を聞いてもよく分からなかった」と述べ、報道されるまで偽装を知らなかった、との立場をあらためて主張。公的支援や公表を遅らせるなどの国側への働きかけは「一切してない」と否定した。

 冒頭の弁明の中で、伊藤元長官は「大きな問題がその先にあるとは知る由もなかった」、「自分の判断は政治倫理に反していなかった」と釈明。ただ「結果として、私の行動が誤解を生じ、お騒がせしたことには深く反省し、おわび申し上げる」と述べた。

 質疑は、国交省への働き掛けや小嶋社長との関係を中心に進んだ。小嶋社長らと国交省に出向いた昨年11月15日の会合で、同省局長に「民間検査機関を指定した国にも責任がある」と発言したとされる点について、伊藤元長官は「一部始終、何を言ったかは覚えていないが、私が申し上げたのは『住民の安全確保をしっかりして』ということだ」とかわした。

 また、小嶋社長らからの働き掛けに関しては、「具体的に『何かしてほしい』ということはなかった」と否定した。

 小嶋社長からの政治献金やパーティー券購入など資金的なつながりに関する指摘に対しては、適正に処理したことを強調。献金を返金したとの報道に関しては、「住民の思いを考えて返金すべきと思った」と説明した。【了】