画像はイメージです

写真拡大

 1月の恒例行事といえば成人式。現在は1月の第2週の月曜日に移動しているが、かつては1月15日の祝日に行われていた。毎年、暴れる20歳などの姿がニュース番組で報じられ、「成人式不要論」なども唱えられる。

 そもそも、成人式はなぜ1月に行うのだろうか。年末年始は帰省する人は多いだろうが、成人式の時期にはすでに会社や学校が始まっている。そうして見ると、決して理にかなっているわけではない。さらに、冬場の東北や北海道地方などは、深い雪に覆われるところもあり、動きづらい。そのため、成人式は地方によっては8月の夏場に行うところもあるようだ。

 だが、成人式の1月開催にはしっかりと伝統文化にもとづいた理由が存在する。成人式のルーツとなるものは、日本で奈良時代から行われてきた元服(げんぷく)という儀式である。数え歳で12歳から16歳になった男子に対して、髪型を大人のスタイルにするほか、大人の服装や、幼名から大人の名前への切り替えなどが行われた。当初は貴族の間のみで行われていたが、室町時代に入ると民間にも普及し始める。元服の年齢にも幅が生まれ、中には5歳や6歳で元服を迎えるところもあったようである。当時の人間は、今よりも精神年齢はプラス10歳くらいはあるだろう。とはいっても、早すぎる印象も受けなくはない。

 対して、女子はどうであったのか。女子版の元服は当初は裳着(もぎ)と呼ばれ、平安時代から安土桃山時代にかけて行われた。対象年齢は初潮を迎えた10代前半の人間であり、以降は成人扱いとなり結婚も許された。江戸時代に入ると、男子に同じくこちらも元服と呼ばれるようになり、対象年齢は18歳から20歳ごろとされた。儀式では地味な着物を着て、髪型を整えるほか、厚化粧やお歯黒、眉毛を抜く剃るなどして整える引眉なる儀式も行われていた。現在ならばメイクアップに該当するだろう。

 これらの儀式が行われたのが、小正月である1月15日であったため、成人の日のルーツとなったのだ。