思い出の写真や動画が詰まったiPadを盗まれた母子「画像は『Manchester Evening News 2018年4月7日付「“You think ‘how could someone do that?’ It’s evil” - mum’s heartache after thieves steal iPad full of photos from young son on cancer ward」(Image: Tyler Olley)』のスクリーンショット)

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入院生活を強いられる子供たちにとっては病室が自分の部屋も同然となり、家族らも病室で子供たちにはできるだけ居心地よく過ごさせてあげたいと願っていることだろう。しかしこのほど、英マンチェスターの子供病院に入院している子が大切なiPadを盗まれる被害に遭った。母親は「iPadには多くの思い出の写真や動画が詰まっている。どうか返してほしい」と悲しみと怒りを吐露した。『Manchester Evening News』が伝えている。

マンチェスターのバーナッジに住むディオン・イングラム君(7歳)は、生後1歳半の時に白血病と診断された。クリングル・ブルック小学校に通っていたものの昨年のクリスマス前に4度目の再発となり、現在はRoyal Manchester Children’s Hospital(ロイヤル・マンチェスター子供病院 以下、RMCH)に入院している。一生酸素吸入が必要であるうえ、鎖骨の下から静脈内に挿入する太い点滴チューブをしながら闘病生活を続けるディオン君にとって、iPadは大切な遊び道具のひとつであり、また元気な時の姿がたくさん収められたかけがえのない宝物でもあった。

ところがそのiPadが、盗まれてしまったのである。4月6日、母親のタイラー・オリーさん(26歳)はディオン君を車椅子に乗せて数時間病室を離れた。しかし病室に戻ってきた時には、ベッド脇に充電したままにしてあったiPadが消えていた。タイラーさんはiPadを盗んだ犯人に向けてこのように訴えている。

「ただのiPadなら仕方ないと諦めます。ですが、あのiPadには旅行したり水泳をしたり、歌を歌っていたりした元気な時の息子の写真や動画がたくさん保存されていました。それらはかけがえのない息子の思い出なんです。USBやディスクに落としてでもいいから、名乗らなくてもいいから、どうか返して。」

闘病生活を送るディオン君は、写真を撮った時のように今は元気に遊びまわることができない。だからこそ、楽しかった時の思い出がたくさん詰まったiPadの中の写真を見ることが大好きだったとタイラーさんは話している。現在、病室で過ごさなければならないディオン君にとって、そこは自分の部屋も同然だ。ディオン君の病室にはたくさんのおもちゃがあり、壁にはディオン君が描いた絵が飾られている。タイラーさんは、悲しみと怒りをこのように吐露した。

「息子の自室といっても過言ではないこの部屋に、誰かが侵入して心無い行為を働いたのです。『いったい誰がそんなひどいことを』と思うでしょう。そんなことをするのは邪悪な人でしかありません。」

RMCH側は、ディオン君がiPadを盗まれた週に2件の被害があった事実を認めている。2人目の被害者は、別の病棟の子供だったようだ。RMCHスポークスマンは「現在、グレーター・マンチェスター警察と当病院の警備チームが捜査中です。これらの出来事で、入院患者とその家族に多くの苦悩を生じさせたことは遺憾であり、警察と協力して窃盗犯らが病棟に侵入できないよう配慮し、患者とその家族をサポートするよう努める所存です。また、来院する方には貴重品を安全な場所へ保管するか常に目の届く所へ置くようにして頂きたい」と述べている。

この件以降、ディオン君と同じ病棟に入院する別の患者の家族がクラウドファンディングサイト「JustGiving」にアカウントを作成し、子供たちが少しでも安心して病室で過ごせるようにベッド脇に設置するセイフティーボックスの費用を集める呼びかけを行っている。

画像は『Manchester Evening News 2018年4月7日付「“You think ‘how could someone do that?’ It’s evil” - mum’s heartache after thieves steal iPad full of photos from young son on cancer ward」(Image: Tyler Olley)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)