トイレットペーパーが顔に直撃し、その場にうずくまるオスカル・ガルシア。現地メディアによれば、今は状態が回復しているという。 ※写真はツイッターより

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 ギリシャ屈指の名門同士による決戦はサポーターたちの愚行により、残念な形の幕切れを迎えることになった……。
 
 現地2月25日にギリシャで行なわれた同国リーグ23節のPAOK対オリンピアコスの上位対決は、PAOKサポーターのある行為によって負傷者が出たため、中止の決断を余儀なくされた。犠牲となったのは、オリンピアコスのスペイン人指揮官オスカル・ガルシアだ。
 
 事件はキックオフの直前に起きた。ピッチサイドを歩くガルシア監督に、スタンドから投げ込まれたトイレットペーパーが直撃し、唇を切って出血。その場にうずくまるスペイン人監督は目眩も訴えたため、救急車でテッサロニキ市内の病院へ搬送されたのだ。
 
 これを受け、オリンピアコスは選手たちをピッチから引き上げさせ、クラブの副会長でゼネラルディレクターのサッバス・セオドリディス氏は、「チームを連れて帰ることにした。さよならだ」と吐き捨て会場を後にする。再開する術をなくした主審のアレクサンドロス・アルテプーロスは、ほどなくして試合中止を発表した。
 
 ギリシャ・メディア『Greek reporter』によれば、PAOKは0-3の敗戦扱いになるだけでなく、勝点3の剥奪と最大8万ユーロ(約1000万円)の罰金、さらにホームゲーム2〜3試合を無観客で行なうなどの厳重処分が科されるとみられている。リーグ7連覇中のオリンピアコス(現在3位)に勝点10差をつけ、現在首位に立っているPAOKにとってもこれは痛恨の極みだ。
 
 しかし、PAOKの広報は、「オリンピアコスが目的(試合の中止)を持ってここへ来たのは明らかだ。彼らはもう30年もこうした挑発を続けている。やって来てはサポーターを煽り、騒動を引き起こすんだ」と、責任はオリンピアコス側にもあると訴えている。
 
 いずれにしても、試合中止後にスタジアム周辺でPAOKサポーターが警察と衝突し、ゴミに火をつけ、停めてある車を破壊するなどの暴動を起こしたことを考えれば、試合を続行していたとしてもなんらかの問題が起きていた可能性は高く、審判団の決定は妥当だったと言える。
 
 ギリシャ・リーグは残り7試合。はたしてPAOKはオリンピアコスの7連覇を食い止めることが出来るのか。