好きな人に近づきたいけど怖い…『君の膵臓をたべたい』に見る相手に心を開くコツ

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小栗旬さん主演の映画『君の膵臓をたべたい』が公開されましたね。

この物語は主人公の「僕」が、過去を回想するかたちで進んでいきます。
「僕」はある日、クラスメイトの山内桜良が書いた闘病日記を偶然見つけ、彼女が命に関わる病気を患っていることを知ってしまいます。

内気でいつも“ぼっち”な「僕」と、病気とは思えないほど常に笑顔で楽しそうな桜良。気質も性格も違う二人は、なぜか惹かれ合い、交流を深めていきます。

■親密になりたいのになれない…


主人公の「僕」は、人との付き合いが苦手で、他者に干渉することなく自分ひとりの世界で生きてきました。
しかし桜良と過ごす時間の中で、自分の居場所を見出していきます。
それは彼女も同じで、二人は徐々にお互いを受け入れていくんですね。

「僕」のように、他者とどう関わっていけばいいかわからず結果、距離を置いてしまう…。なにもこれは思春期の男性に限った話ではありません。
あらゆる年代の男女が、一度はぶち当たる壁でしょう。

好きな人に対してどうしたら自分の殻を破れるのか、悩ましいときを過ごしている人って多いんじゃないでしょうか。
今回、そんな人付き合いが苦手な人でも、好きな人に対して心を開くコツをお伝えします!

■苦手意識の根源にあるもの


人間関係や学業・仕事を通しての、他者との活動を回避する心理には二種類あります。

・面倒くさいという心理
・拒絶されるのを怖がる心理

前者のような心理の人は、そもそも自分の殻を破ることを望まず、むしろ孤高でいることを求めるので、他者と交流がなくても問題視しません。
そのため、このままの自分ではいけないと感じるのは後者の心理です。

自分に対して批判や非難、拒絶や嘲笑が向けられる恐怖から、親しくなりたくても一歩引いて遠慮してしまうんですね。
このようなメンタルが生まれる原因のひとつに、「不完全感」があります。

「不完全感」とは、自分に満足できず、常に劣等意識を感じている状態のこと。
「不完全感」が強い人は、自己否定を繰り返す傾向があります。

自分が自分を受け入れられないので、他者も自分を受け入れてはくれないだろう、という「思い込み」にとらわれてしまうのです。

■思い込みからの脱却


では、このような「思い込み」からどうやったら抜け出せるのでしょうか。
それは自分へのゆがんだ認識を変えることで改善できます。

具体的に、まずは比較的話しやすい相手とコミュニケーションの場を持ちましょう。
その後、会話中に思い浮かんだことを時系列に沿って書き出します。

続いて相手のリアクションを思い出し、書き出した内容と照らし合わせてみましょう。
双方が噛み合っていない場合は、どこかに誤解が生まれていたということです。

このように、その時々の自分の思考の在り方を振り返って観察することを心理学用語で「セルフモニタリング」といいます。
不完全感の強い人は、相手が自分をどう思っているのか、マイナスな心象を抱いていないかを恐れるあまり、場に集中できず、噛み合っていない会話をしてしまう傾向があるんです。

相手のリアクションをそのまま受け止め、きちんと場に集中するよう心がけることで、自分が思っているほど相手にはネガティブな感情がないことを知るでしょう。
そうした認知を積み重ねていけば、いずれ思い込みを払拭することができます。

思い込みがなくなれば苦手意識も低下し、自分を出すことに恐れを感じなくなるのです。

■まとめ


好きな人に心を開くコツ、ご理解いただけましたでしょうか。

人は誰でも嫌われることを恐れるもの。でも、心を開かないと実のある人間関係は築けません。

親密になりたい人がいるなら、なおさら、自己否定をしてしまう自分と正面から向き合う勇気を持ちましょう。
壁を作っているのは相手ではなく、あなた自身なのですから。

ライタープロフィール


黒木蜜
一般企業に勤めながら執筆した作品が日本文学館のオムニバス本に掲載され作家デビュー。古事記への造詣が深く、全国300ヶ所以上の神社紹介記事を執筆。現在、古事記の観点から紹介する神社コラム/恋愛コラムなども手がけている。
黒木 蜜〜中今の詩〜