マクドナルドの中国事業売却、ウォール街は高評価

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ファストフード界で中国進出の”先駆け”だったマクドナルドは、世界で最も人口の多い同国で事業を展開するリスクとリターンの複雑さを学んだ。

中国での大きな事業や決断は、間違いなく同社に健全性に影響を及ぼす。そのため中国での事業の大半を売却するという同社の発表は、とても大胆なものに思えた。

そして驚くことに、ウォール街はこの決断を歓迎した。中国本土に2,400店、香港に240店を展開するマクドナルドによる「中国事業の売却は戦略的・経済的に筋が通っている」と、投資信託モーニングスターは評価している。

マクドナルドは、中国事業の80%を中国中信集団(CITIC)と米大手投資ファンドカーライルが率いる企業連合に21億ドル(約2,400億円)で売却する。同社とこの企業連合が提携して、今後20年にわたってチェーン展開を行う企業を設立。新会社の持ち株比率はCITICが52%、カーライルが28%、マクドナルドが20%となる見通しだ。

モーニングスターの株式アナリストであるR.J.ホットビーは、今回の動きを予測していたとし、中国事業の売却を受けてもマクドナルドに対する「当社の長期的な評価はほとんど変わらない」と言う。マクドナルドの株価は今回の発表以降、あまり変動しておらず、1株120ドル(約1万3,700円)前後で取引されている。

ホットビーは、マクドナルドの中国事業は「過去20年にわたって一貫性に欠けていた」と指摘。「戦略的視点から、当社は今回の事業売却と今後のチェーン展開の取り組みについて肯定的な見方を維持している」と評価する。

CITICとカーライルが持つ中国地域に関する知識によって、今後は(特に大都市および中堅都市での)より迅速な成長と「より中国の消費者に合った」メニューや戦略の開発が見込めると確信している。

また彼は、マクドナルドの経営陣は2017〜2019年に向けて株主還元目標を150億〜200億ドル(約1.7兆円〜2.3兆円)の間に設定(株式の買い戻しと配当の組み合わせ)すると予想している。

投資会社ベアードの株式アナリストであるデービッド・タランティーノによれば、今回の発表を受けてベアードは「より高いROIC(投下資本利益率)のビジネスモデルに移行している」という。タランティーノはマクドナルドの株式について「アウトパフォーム」の格付けを維持しており、価格目標を1株128ドル(約1万4,600円)としている。

顧客へのメモの中で彼は、今回の取引によってマクドナルドの企業価値/EBITDA倍率は7倍近くになるとし、中国事業売却がもたらすプラスの効果の1つが、企業全体のROICの増加とフリーキャッシュフローの継続だと指摘している。

S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスの元株式アナリストであるトゥナ・N・アモビは、マクドナルドの株について「バイ(買い)」のレーティングを維持。12か月の目標株価を1株140ドル(約1万6,000円)としている。今後2年で同社の営業利益が大幅に拡大するだろうという予想も判断材料の1つだ。

アモビは、(債務増加による)支払利息の大幅増と現在も継続されている株式買い戻しにより、マクドナルドの1株当たり利益は2015年の「正常値」4.98ドル(約570円)から1016年は5.71ドル(約655円)に上昇。2017年は6.19ドル(約710円)に上昇するだろうと予想している。また彼は、同社の株式の配当利回りが3.3%と高利回りになっていることも指摘した。

「今後アメリカでの入店客数はいくらか安定するだろう」とアモビは予想。「ヨーロッパとアジアの複数の市場では、改善傾向がみられるだろう」