3年ぶり打率3割&25本塁打、間違っていなかった村田の決断

 巨人・村田修一内野手が今季、打率.302と3年ぶりに打率を3割に乗せ、復活した。本塁打打者ではあるが、昨年の打率を反省し「2割3分(昨季.236)の自分を(首脳陣が)使いたいと思えるのか」と率を上げる打撃を目指し、スタイルを変えて挑んだ1年。決断は間違いではなかったようだ。

 開幕前は2年目の岡本和真との争いになると目されていた。だが、プライドをむき出しにして臨んだ35歳は結果にこだわり、寄せ付けなかった。

 打撃は大振りせず、コンパクトに。確率を上げることで復活への道を探った結果、随所にタイムリーも飛び出し、首脳陣の信頼をつかんでいった。

 1球1球を確実にとらえる意識は打率だけでなく、本塁打数増へとつながっていった。もともと本塁打王を獲得できるほどのパンチ力のある選手。昨季は自己ワーストタイの12本塁打だったが、自然と25本にまで増えた。3割前後をキープする確実性が増すと、軽くとらえてもスタンドにボールを飛ばせるようになっていた。

内田打撃コーチの教えもきっかけに、練習で意識したこととは…

 首位打者を取った坂本勇人にも共通する打撃意識。内田順三打撃コーチから「練習では苦しく打ちなさい」と教えられたことをきっかけに、豪快に気持ちよくなるような打撃練習はしていない。

 やみくもにスイングをするのではなく、ボールを引きつけ、極端にいえば窮屈に振る。反対方向へ打つ意識を体にすりこませた。打席で追い込まれてもライト前へヒットを打てるようになり、弱点が減っていった。失投も逃さなくなく、率も本塁打も上がるという効果が出た。

 36歳のシーズンながら143試合に出場。ベテラン内野手は輝きを取り戻しつつある。1軍経験のあまりない若手とのレギュラー争いという状況から這い上がった。この屈辱ともいえる境地を村田は「自分が作った状況」と受け入れることができたのも大きかった。

 プライドが進歩を邪魔する時もある。現実と向き合うことができたからこそ、状況を打破できた。来季、さらなる飛躍を期待したい。