イチロー【写真:田口有史】

ジョンソン氏が野球殿堂入りも「イチローが引退した後に2人の名誉を称え、欠番となる可能性が高い」

 ヤンキースからフリーエージェント(FA)となっているイチロー外野手のトレードマークだった背番号51が、引退後に古巣マリナーズで永久欠番になる可能性が高いと地元メディアが伝えた。今月6日にアメリカ野球殿堂入りしたランディ・ジョンソン氏との連名で欠番になるとの見解を、球団公式サイトのグレッグ・ジョンズ記者が示している。

 ジョンズ記者は、ファンの質問に答えるコーナーで球団の永久欠番について触れている。エドガー・マルティネス氏やケン・グリフィー・ジュニア氏ら、マリナーズが生んだスター選手たちとともに、イチローの名前も登場する。

「ランディ・ジョンソンは明らかに(永久欠番に)適格な有力候補だ。もっとも、背番号51は彼の後にイチローが着てはいたが。よって、イチローが引退した後に2人の名誉を称え、欠番となる可能性が高い」

 ジョンズ記者はこう説明している。

 左腕のジョンソン氏は1989年途中から1998年途中までマリナーズに在籍。約9年で130勝74敗をマークした。1992年からは4年連続で奪三振王に輝き、1995年は18勝2敗、防御率2.48の好成績で自身初のサイ・ヤング賞にも選ばれている。

 その後もダイヤモンドバックス、ヤンキースなどで活躍。キャリア通算303勝166敗、防御率3.29と驚異的な成績を残し、サイヤング賞は計5度受賞。今年は資格取得1年目ながら97.3%という圧倒的な得票率で野球殿堂入りした。

ジョンソン氏が移籍後、同じ背番号51でマリナーズの“レジェンド”となったイチロー

 経歴は抜群で、すでにダイヤモンドバックスが背番号51を永久欠番にする方針だと報じられている。ただ、マリナーズから同じような話はまだ伝わってこない。

 その理由は、背番号51を付けていた偉大な選手がもう1人いるからかもしれない。

 イチローは2001年からマリナーズでプレー。入団時に、かつてジョンソン氏が付けていた背番号51を選んだ。イチローにとってもオリックス時代からのトレードマークだったが、すでにマリナーズファンからも伝説的な選手として認識されていたジョンソン氏の番号を背負うことに対して、当初は少なからず批判の声もあった。

 しかし、そんな声を自らのプレーで封じた。1年目でMVP&新人王をダブル受賞し、チームはMLBタイ記録となるレギュラーシーズン116勝をマーク。華麗な守備と強肩ぶりを何度も見せつけ、イチローが守るライトは「エリア51」と呼ばれるようになった。

 すぐにチームの「顔」となり、2012年途中にヤンキースに移籍するまで11年半に渡ってマリナーズでプレー。シーズン200本安打、オールスター出場、ゴールドグラブ受賞をすべて10年連続で達成した。

 2004年にはシーズン262安打をマーク。メジャーでは2度と破られることのない記録とも言われている。イチローも、シアトルで“レジェンド”となった。

 ジョンソン氏もイチローも、マリナーズの球団史どころか、メジャー史に名前を残す選手であることは間違いない。背番号51がジョンソン氏の名前で先に欠番となり、そこにイチローの名前が加わるという可能性もある。ただ、未だ現役のイチローに敬意を表すならば、引退後、もしくは確実とされている野球殿堂入り後に、ジョンソン氏との連名で永久欠番に制定されることになりそうだ。

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フルカウント編集部●文 text by Full-Count