田中を称賛した往年の名投手、リッチ・ゴセージ氏【写真:Getty Images】

田中を称賛する往年の名投手 リッチ・ゴセージ

 ヤンキース田中将大投手がヤンキースOBで殿堂入りを果たしている名投手から優れた人格面を激賞された。地元紙ニューヨーク・ポストが「ヤンキース打線は目覚めなければいけない。タナカ一人では勝てない」との特集記事の中で報じている。

 田中は22日(日本時間23日)のオリオールズ戦で7回3失点と粘りの投球を見せたが、味方打線の援護がなく、0-8で敗戦。今季2敗目を喫した。記事では「最後に、ジラルティ監督も今季打撃陣が落胆する状況であることを認めた」と力投のエースの足を引っ張る打撃陣を批判している。

 今季2敗目を喫したが、11勝で勝利数は両リーグトップ。防御率2・11はアスレチックスのスコット・カズミアー投手の2・08に次いでリーグ2位となったが、今回のオリオールズ戦を含め今季全15試合でクオリティ・スタート(QS=6回以上を投げ、自責3以内)を継続している。

 マウンド上で輝きを放つ田中だが、その人格面も称える声が上がっている。田中を称賛したのは、オリオールズ戦の前に行われたヤンキースOB戦「オールドタイマーズ・デー」に出場した往年の名投手、リッチ・ゴセージ氏だ。

「スプリングキャンプの時に気付いたことがあるのだけれど、その時からこの男には言葉の壁というものは存在しなかったね。私が今まで会った人間の中でも最高の人格者の1人だよ。彼はすごく楽天的な人間で、それでいて新鮮なんだ。そういう無垢な感じの人間にはなかなか出会えないものだよ」

「田中のような投手がいたらクローザーはいい暮らしができない」

 62歳のゴセージ氏はヤンキースで78年から83年にクローザーとして大活躍。パイレーツから移籍した初年度の78年にはワールドシリーズ優勝にも貢献した。1990年には福岡ダイエーホークスでもプレーし、2008年に殿堂入りを果たしている。これまで多くの偉大な野球人と接してきたゴセージ氏は田中のピッチャーとしての能力もさることながら、人格面にも多大な魅力を感じているようだ。

 ピンストライプの名門の守護神としてその名を馳せたゴセージ氏は「田中をリリーフするなら?」という質問をされ、ヤンキースの伝説の左腕を引き合いに出している。

「ロン・ギドリーのクローザーを務めるようなもの。試合を忘れて、私はオフを取るよ。タナカやギドリーのような投手がいたら、我々(クローザー)はいい暮らしができなくなってしまうからね」

 ゴセージ氏が名前を挙げたギドリー氏は「ルイジアナ・ライトニング」の異名を取った名投手で、1975年から88年までヤンキース一筋で活躍。ゴセージ氏の僚友でもある。通算170勝91敗でオールスターに4度出場し、1984年にはサイ・ヤング賞にも輝いた。「背番号49」は永久欠番となっている。その偉大な投手と同レベルで語られていることからも、田中がいかに評価されているかが分かる。

 田中は今季2試合で完投するなど、ヤンキースの先発ローテーションで唯一、開幕から長いイニングを投げ切り、ブルペンの負担を軽減している。2敗目を喫したとはいえ、今季メジャーでただ一人、全試合でQSも続けており、その評価は高まるばかりだ。