ガンバらない大阪!

みなさんは「ヤット渋滞」という現象をご存じでしょうか。これは大阪府吹田市あたりで有名な道路交通現象だそうです。付近に住むガンバ大阪・宇佐美貴史さんの証言によると、その原因はガンバ大阪遠藤保仁さんのマイペース運転にあるとのこと。

何でも遠藤さんは、クルマの運転がものすごくゆっくりで、そのせいで遠藤さんの車両の後ろに渋滞ができるのだそうです。遠藤さん本人に「急いでも仕方ない」という持論があるらしく、宇佐美さん曰く「付近で渋滞が発生した際は大体先頭に遠藤さんがいる」のだとか。

僕はこの話を聞いて、改めて遠藤さんの深い哲学に感動してしまいました。現代社会に蔓延する生き急ぎ感。それがどれだけの無用な焦りと、焦りから生まれるミスややり直しを生んでいることか。おそらく遠藤さんは、急ぐことで得られるものの小ささを知っているのです。

自動車の運転で一番大切なことは何か。それは決して猛烈なスピードを出すことではありません。そこはあくまでオマケであり、趣味で楽しむ領域。一番大事なのは目的地に確実に到着することです。

事故のリスクを上げてまでアクセルを踏んだところで、得られる時間短縮のメリットはほんのわずか。出発前にグズグズしていたり、出発後に道に迷ったり、途中でガソリンスタンドに寄ったりすれば、アクセルを踏んだ分はすぐ帳消しになります。

迷わず、止まらず、進みつづけること。

それさえ忘れなければ、たどりつくべき場所には必ずたどりつける。遠藤さんは身を持ってそのことを示してくれているのではないでしょうか。焦るのはやめましょう。急いでも得はありません。今できることが、今できる100%。決して、面倒臭くてやらないのではない。「急いでも得はない」からやらないのだ。そういう気持ちで…。

ということで、必要なときに必要なスピードで動く遠藤保仁さんのプロフェッショナルな生き様を、27日のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」からチェックしていきましょう。


◆「ヤット渋滞」はあっても「ヤット遅刻」はない、それが現実!

遠藤さんにはスピードがない、と言われます。確かに試合中にもすごいスピードで移動している遠藤さんを見る機会はありません。しかし、遠藤さんには本当にスピードがないのでしょうか。「プロフェッショナル」中でスピードがないことの参考として出されたスピード練習の映像では、遠藤さんは確かにビリでした。ですが、それは寝た状態から起き上がってスタートを切るときに、起き上がるのに失敗しただけでした。

逆に先日放映された「アナザースカイ」では、鹿実時代のフィジカルコーチが遠藤さんの身体能力が16年間の鹿実のキャリアでナンバーワンだったと語っています。自分の数値を見て「うわっ早っ!」と驚く遠藤さんに、僕は大きな違和感を覚えたもの。その違和感は遠藤さんの運転を見て確信に変わります。この人はスピードがないんじゃない、アクセルを踏むことに興味がないだけなんだ…と。

↓NHKのスタッフも若干のイラッを覚える遠藤さんのノーアクセル運転!
(遠藤さんのベンツに同乗し取材する番組スタッフ)

スタッフ:「……ゆっくり走るんですね(苛)」

(スピードメーターは30キロと40キロの間をフラフラ)

遠藤:「あぁ、僕急いでなかったら(こんなもんです)」

ナレーション:「運転は制限速度よりもゆっくり。ここでもやはりマイペースだ」

スタッフ:「ここまでゆっくり走る方は、さすがに珍しいですね…(苛)」


遠藤:「そうっすね。みんなに抜かれていきますけどね、全然気にしないですね」

スタッフ:「もっと早く走ってとか言われないですか?(苛)」

遠藤:「嫁さんに『急いでよ』って言われるときはありますよ。そのときは急ぎますけどね」

遠藤:「でも何だかんだ言って、追いつくんですよね。信号の待ちで追いついたりとかって結構多いんで」

<噂のヤット渋滞は確かに存在した!>



<「遅せぇよ」というNHKスタッフの視線をまったく気にも止めないヤット渋滞先頭車両>


<ヤット渋滞くそおせぇぇぇwww>


ま、みんな抜けてないから渋滞起きるんだけどねwww

このオッサン、そもそもスピード出す気がないwww

NHKスタッフが急いでいる可能性はまったく考慮せずwww


遠藤さんの乗るのはメルセデスベンツ・G63AMG。ジープのような大型のフォルムを持つゲレンデワーゲンと呼ばれるタイプのハイグレード車両です。メーカー希望小売価格1780万円。5.5リッターV8ツインターボエンジンを搭載し、2.5トンの車重を5.4秒で時速100キロまで加速する怪物車両です。

このモンスターで公道を30〜40キロで走るという迷惑行為。ちょっと足で踏めば100キロまであっという間に加速するものを、あえて30〜40キロで留めている。スピード云々ではなく、おそらくは単に「子ども3人と俺と嫁が乗っても窮屈じゃないヤツください」で選んだクルマなのでしょう。遠藤さんは性能の上限までスピードを出すつもりはさらさらないのです。

しかし、このようにくそ遅い運転をしていながら、遠藤さんが練習に遅刻したとか、イベントに遅刻したとかいう話は聞きません。そこが遠藤流マイペースの大前提。30キロで走っても間に合う時間に余裕をもって出発するという、誰よりも早い動き出しがあってこそのマイペースなのです。クルマでそうなら、まして自分のカラダならなおのこと。サッカーにおいてもこの哲学は活かされていたのです。

「速さ」よりも「早さ」。

試合中にヨーイドンから相手を振り切るには相当なスピードが必要ですが、上手い動き出しで相手より一歩早いスタートを切ること、あるいは正確なトラップとキックで持ち直したり追いかけたりする無駄をカットすることで、目的は十分に達成できる。何だかんだ言っても赤信号でほかの車両に追いついてしまうのと同じように。

そのために遠藤さんは練習面でも工夫をしています。25メートルの距離に置いたボールに、蹴ったボールを当てる練習です。インサイドで蹴ればビリヤードのようにボールを的確に弾き、さらにはアウトサイドで蹴っても当てることができる。このパスの精度が、味方が無駄に動いて拾いに行く時間をカットしてくれる。「速さ」よりも「早さ」のサッカーです。

↓だから遠藤さんはダッシュする練習にはそんなに興味がない!

(ダッシュ練習の合間にスタッフに話しかける遠藤さん)

遠藤:「今、俺の走る本数数えてました?」

スタッフ:「数えてないです」

遠藤:「数えてねぇかぁ」

スタッフ:「(数えるの)今からじゃ遅いですか?」

遠藤:「いや、1本増えるか減るかの差なんですけど」

考え:「ダッシュ練習20本か…」
考え:「ハワイのことでも考えて気を紛らせよう」
考え:「……あれ?今何本目だっけ」
考え:「14本目だっけ?15本目だっけ?」
考え:「15本目だと思うんだけど…違うかな…」
考え:「誰か数えてねぇかな…」

いや、そこは1本増やしていきなさいよwww

何だその「できれば減らないかな」っていう考えwww


遠藤さんは少年時代、壁にあいた排水口を目掛けてボールを蹴って、正確さを磨いたといいます。テニスボールほどのサイズの穴に正確に当てる技術。正確な技術があれば、アクセルを踏むまでもない。よりよい位置に一歩早く位置取り、正確なトラップとキックで無駄をなくせば、十分に戦える。

むしろ必要なのは、それを120分間やりつづける体力。体幹トレーニングや腹筋に精を出し、練習後にはひとり走り込む遠藤さんの姿。それは最高速でも加速性能でもなく、荷物の積載量と燃費でクルマを選ぶような話なのかもしれません。ちょっとの「速さ」よりも大切なことは、ほかにあるのです。遠藤さんののんびりマイペース、なかなか深いものがありますね…!

↓ちなみに遠藤さんは地元大阪の試合ですら前日はホテル泊!これならヤット渋滞ペースでも大丈夫だ!
(荷物を持ってホテルにこもる遠藤さん)

ナレーション:「試合を翌日に控えた夜、遠藤さんはホテルにいた」

ナレーション:「試合の前日は、たとえ地元のゲームでも家族の待つ自宅には帰らないという」

スタッフ:「前から、ずっとそういう形でやってたんですか?」

遠藤:「僕はそうですね、ほぼ。プロになってからほとんどそうですね」

遠藤:「まぁ、この生活に慣れているので」

ナレーション:「どんなものを持ってきているのか、スーツケースの中身を見させてもらった」

遠藤:「いっつもこんな感じです」

(スーツケースには、携帯ゲーム機、CD-ROM、サプリメント各種、スリッパ、スニーカー、ドライヤー、美容系の小物入れ、本、野球のボールなどが入っている)

<「がんばらなくていいんだよ」を読む遠藤さん>



ガンバらなくていいんだよ!

急いでクルマを走らせずとも、近くに宿をとればOK!


↓ホテルで万全の態勢を整えるため、遠藤さんは野球のボールを活用したマッサージなどもするらしいぞ!
(無造作に取り出した野球のボール)

遠藤:「あ、これ。これはマッサージって言ったら変ですけど、足の裏で乗ったりとか」

スタッフ:「どうやって使うんですか?」

遠藤:「これすか?足の裏に乗るときは普通にこうやって」


(床にボールを置き踏む)

スタッフ:「あー……なるほどぉ」

(茶の間からは「なるほどぉ、じゃねぇよw」「見りゃわかんだろw」「ほかにやりようあるのかw」の声)

遠藤:「気持ちいいところに(当てる)。あと、腰をやったりとか」

遠藤:「野球ボール使ってる選手は少ないかもしれないですけど、ゴルフボールとかテニスボールとか使ってる選手は多分結構いると思います」

スタッフ:「それはいつぐらいから、かなり以前からやっていますか?」

遠藤:「今年(2013年)のあれです、WBCのときの。もらったボールなんで今年の春からです」

スタッフ:「どなたからもらったんですか?」

遠藤:「これは杉内とか。もらったというか、ヘンな言い方なんですけど取ってきたというか」

遠藤:「記念のボールなんでずっと使ってます」

<WBCの記念のボールで足裏マッサージをする遠藤さん>


<画像:杉内さんからサインおよび足裏マッサージ用のボールをゲットする遠藤さん>
http://www.sanspo.com/baseball/images/120216/bsr1202161834006-p47.jpg

※ふたりは鹿児島実業高校の同窓生です。
※遠藤さんが杉内さんより1学年上です。
※あらかじめご了承ください。

ボールも飾っておくより使ったほうがいいよね!

1年間有効に活用しているんだからボールも嬉しいはず!


↓そして番組の最後、遠藤さんは自分にとってプロフェッショナルとはどういうことかを語った!
遠藤:「ものすごい影響を与えられる人が、真のプロフェッショナルだと思います」

遠藤:「サッカーしてる僕ですら、イチローさんのようになりたいとか思うんで」


遠藤:「やっぱりその領域までいきたいなーとは思ってますけどね」

<イチローさんの領域に行きたいと願いながら、杉内さんのボールで日々の足裏マッサージをする遠藤さん>


遠藤さん:「イチローさんの領域に行きたいっすね」
遠藤さん:「これ、杉内からとってきたボールです」
遠藤さん:「足の裏に乗るときは普通にこうやって」

ってオイ!マイペース通り過ぎて怖いわwwwwwwww

イチローさんのボールはくれぐれも使う用じゃなく飾る用でお願いしますwww

杉内さんのボールは鹿実の後輩なんでギリOKです!


今日は遠藤さんの誕生日!杉内さんの新しいボールをお待ちしています!