人間の約半数は「隠れサディスト」―研究結果

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特殊な性癖や毒舌な人……ではなく、ここでいう「サディスト」は、「他人の不幸や苦痛を見て快感を覚える」タイプの人のこと。その割合と特徴を心理学の研究が明らかにしています。

靴を隠して、持ち主が困る様子を観察する人。悪口。部下をいじめる上司。スポーツの乱闘シーンに熱狂する人々――こんな光景を身近に感じる人も多いのではないでしょうか。他人の困難に喜びを感じる彼らは「サディスト」の素質を持っていると言えます。

「サディズム」の研究は、これまであまり多く行われてきませんでした。人種差別やモラルに結びつくデリケートな問題なので、研究テーマとして取り上げられることが少なかったのです。

カナダ、ブリティッシュコロンビア大学は学生71人を対象に、サディズムに関する実験を行いました。彼らは4つの苦痛を伴うであろうテーマのうちから1つを選んで実行しなければなりません。

その4つとは、「たくさんの虫を殺す」「虫を殺す手伝いをする」「冷水に浸かる」「トイレ掃除」。この結果、「虫を殺す」またはそれを「手伝う」を選んだ人は53%にのぼりました。次いでトイレ掃除が34%、冷水を選んだ人は13%でした。

「虫を殺す」「手伝う」を選んだ人には、実際にそれを行ってもらいます。各自には「マフィン」「アイク」「トゥージー」と名の付いた3匹のダンゴムシが与えられ、それをコーヒーミルで粉々にひけというのです。(ちなみに実際はミルの中に抜け穴があり、ダンゴムシは死なないようにできています)

この結果、中には1匹か2匹をミルにかけたところでギブアップする人もいましたが、「もっとやりたい」という人も少なくなかったそうです。3匹すべて殺した人は、その後のアンケートで「快感だった」と答える率が高かったということです。

「サディスト」に似たタイプの人格として、冷徹無情な「サイコパス」が挙げられます。

上の実験を主導したポールハス博士によれば、サイコパスは「他人から物を奪うのが目的であり、そのためには他人を傷つけることを厭(いと)わない」という性質なのに対し、「サディスト」は「他人に苦痛を与え、それを楽しむことが目的である」という点で異なっています。

世の中には生まれつきのサイコパスが存在することが分かっていますが(連続殺人犯などに多い)、サディストにも同様のことが言えるようです。

あなたの中にも潜んでいるかもしれない「サディズム」・・・しかし、他人を傷つければ必ず自分に返ってくるもの。心当たりのある人は、感情をコントロールする努力が必要かもしれません。

※ 当記事は、ハイブリッド翻訳のワールドジャンパー(http://www.worldjumper.com)の協力により執筆されました。

参考:Everyday sadists among us?
http://well.blogs.nytimes.com/2013/09/16/everyday-sadists-among-us/?src=dayp&_r=0