ペーパードリップ方式はドイツ人の考案。写真はそれを考案したメリタ社のコーヒーフィルター

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ドイツ人というと真っ赤な顔をしてビールをがぶがぶ飲んでいるイメージがあるが、実はコーヒー好きとしても知られている。仕事場でも自宅でもよく飲む習慣があるという。では、具体的にどんなこだわり、習慣があるのか。

まず、コーヒーの味はどうなのか。
「米国の薄いコーヒーに悩まされてから、この国(ドイツ)へ来てからとても幸福な気分になった。炭火焙煎珈琲に慣れた人には、アメリカンコーヒーは、茶色に染めたお湯であり、コーヒーではない」というのはドイツ在住のジャーナリスト、熊谷徹氏。ドイツ人は基本的にコクのあるコーヒーを好み、コーヒー好きの日本人が失望することはないそうだ。

で、当然ドイツでは、コーヒーの消費量は多い。
ドイツは世界3位のコーヒー消費国で、一人あたりのコーヒー消費量は年間約7kgとEUの平均より2kgほど多いです」(メリタジャパン)
種類としては、ドリップコーヒーが人気。
コーヒーマシンとコーヒーショップの普及から、ラテへの嗜好の変化も見られ、エスプレッソ/カフェ・クレマ用に焙煎された豆の消費量も伸びている。しかしまだ、フィルターコーヒーが好きだという人は、ミルク入りとブラックを合わせて全体の8割。素朴なパンとチーズの朝食や、ドイツ風ケーキには、やはり香り高いフィルターコーヒーがよく合うからである」(ドイツコーヒー協会調べ、全日本コーヒー協会HPより)

他方、最近では
「もともと、ドイツ人はマイルドなドリップコーヒーを好みますが、最近ではエスプレッソも人気で、イタリアよりずっとマイルド。フォームミルクをふんだんに使った“ラッテ・マッキャート”(日本のカフェラテにあたるもの)も人気があります」(メリタジャパン)とのこと。ドイツ人のコーヒーの好みも時代の流れとともに少しずつ変化しているようだ。

さて、コーヒーをどのくらいの頻度で飲むかというと、同協会掲載のデータによると、「毎朝、朝食とともに飲む」というのが85%を占める。飲む目的は、
・元気を出すため、眠気覚まし
・社交のため
・食後、消化を助けるため
・愉しみ、休憩
・喉の乾きを癒すため
などである。
「朝はコーヒーから始まる家庭が多く、ほとんどの会社では9時に休憩時間があり、コーヒーを楽しむ時間を与えられます。また、夕食の1〜2時間前に家族で手作りのお菓子とコーヒーを楽しむ習慣もあります」(メリタジャパン)
おお〜、ドイツ人はコーヒー三昧の生活をしているのかぁ〜。

コーヒーにまつわるちょっとユークな話をあるドイツ人から聞いた。
「会社にマイ・コーヒーメーカーを持ち込んでいるドイツ人がよくいます。それはコーヒーへの味のこだわりからでしょう」
うーん、日本では同じ職場には共通のコーヒーメーカーがあって、各人のマイカップで仲良く同じコーヒーを飲むわけで、これは個人主義が徹底したドイツならではの光景かも知れない。

ちなみに、コーヒーへの味のこだわりから、ペーパードリップ方式を発明したのは実はドイツ人。
「1908年、ドイツ人のメリタ夫人が愛する夫のためにおいしいコーヒーを作りたいという想いから考案したペーパードリップ方式。今でもこの方式は世界中で親しまれています」(メリタジャパン)
そう、日本でお馴染みのコーヒーメーカー会社のメリタの由来である。同社は1960年代に世界に先駆けてコーヒーメーカーを発売したのち、現在ではコーヒーの指向の多様化から、全自動のエスプレッソマシンやカフェポッド等も販売している。

ドイツコーヒー文化に歴史あり。我々日本人もコーヒー好きなので、ドイツ人のコーヒーの美味しい飲み方を今後とも参考にしたいものである。
(羽石竜示)