「押井さんや神山さんが思う攻殻機動隊とは違うものになる」- 制作陣が語る『攻殻機動隊ARISE』の魅力 (1) 『攻殻機動隊ARISE』は9課設立の物語

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1989年に士郎正宗が漫画作品を発表して以来、映画・TVシリーズ・OVAとして映像化されてきた『攻殻機動隊』が、ついに新作アニメーション『攻殻機動隊ARISE』として再始動する。各話およそ50分・全4部作のシリーズで構成された本作は、攻殻機動隊の創設とこれまでのシリーズ作品において謎に包まれていた草薙素子の過去を描く物語だ。

6月22日から公開されるborder:1(第1話)を前に、5月31日にニコニコ生放送で中継された『攻殻機動隊ARISE』スペシャルトーク番組の模様をレポートしよう。

ニコニコ生放送に出演したのは、総監督・キャラクターデザインを務める黄瀬和哉氏、シリーズ構成・脚本担当する人気SF作家・冲方丁氏、そしてアニメーション制作を担当するプロダクションI.Gの石川光久社長だ。

これまで、押井守、神山健治といった著名なクリエイターが監督を務めてきた『攻殻機動隊』だが、今回の『攻殻機動隊ARISE』ではスタッフ・声優を一新。総監督を務める黄瀬氏はこれまでに数々のアニメの作画監督を務めてきたベテランのアニメーターだが、監督を務めるのは本作が初めてである。

ではなぜ黄瀬氏が総監督に選ばれたのか。この質問に黄瀬氏の答えは「社命です」の一言。「(石川社長に)監督をやれって言われたときに、作品の名前を言わないんですよ。でも『断っちゃいけない』と言うんです。作品は何ですか? と聞いたら、『断らないなら教える』って言うんですよ(笑)」

そうやって半ば強引に黄瀬氏を総監督に任命した石川社長は、この大抜てきについて「黄瀬はプロダクションI.Gの最終兵器なんですよ。最終兵器って、使わないから最終兵器なんです。でも黄瀬も50代を迎えて、ここで使わないとチャンスを逃してしまうなと」と冗談めかして語る。

不安からのスタート――しかし作品の公開を間近に控えた今、黄瀬氏は『攻殻機動隊ARISE』の完成度について「押井さんが作れないものは作れると思いますよ」と自信をのぞかせる。

黄瀬氏:押井さんや神山さんが思う攻殻機動隊とは違うものだと思います。でも新しいかというと、そういうわけじゃない。あまり気負って新しいものをやろうとしても、結局はどこかで見たものになりますから

スタッフやキャストを一新し、舞台設定ががらりと変わったからといって、新しいものを追い求めすぎてもいけない。その意見には、冲方氏や石川社長も同意する。

冲方氏:新しいだけのものを作っても誰もついてこない。ちゃんと共感できるものを作りたい

では、そうやって完成した『攻殻機動隊ARISE』はいったいどんな物語なのだろうか。脚本を担当した冲方氏は、本作とこれまでのシリーズ作品との関係性についてこう語る。冲方氏:今回は9課設立の物語。草薙素子がいかに部隊を作り上げ、9課に合流することになったのか。なぜ彼らはそういう人生を選んだのか。シリーズで唯一描いていない、もっとも未熟だった頃の素子を描く物語なんです……続きを読む