“モチベーションの高さ”の裏にある危険性とは?

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 モチベーションが高い人は、やる気もあって、成長も早い…「モチベーション」ということに対して一般的にいいイメージがあるのは確かだ。
 しかし、実際のところはどうなのだろうか。モチベーションというポジティブな言葉によって、様々な問題が隠れてしまっている・・・ということはないだろうか。

 『仕事ができる人はなぜモチベーションにこだわらないのか』(相原孝夫/著、幻冬舎/刊)では、気持ちに左右されない安定感ある働き方を紹介する。

 モチベーションが高いというだけならいいかもしれない。ただ、モチベーションが高すぎる場合、継続的な長時間労働を招くリスクがある。長時間労働が常態となると、仕事中毒にもなりかねない。特に、会社組織の中では、同調圧力が強く働くため、自ら仕事にのめりこんでいき、そこから抜け出せなくなるということが起こりやすい。その結果、仕事依存症(ワーカーホリック)になってしまう可能性もある。そして、家庭生活や自身の健康などを犠牲とするような状態になってしまい、家庭崩壊、過労死といった事態を招くこともある。
 長時間労働を続けている本人は「仕事熱心で何が悪い」と思っていることも多いが、この考え方自体が仕事依存症の特徴である。休日も仕事のことを考える、仕事以外することがない、仕事以外の話をほとんどしないなど、一見、仕事へのモチベーションが高い人のようであるが、これらの傾向がみられる場合、仕事依存症の疑いがあるという。仕事熱心と仕事依存症は紙一重なのだ。

 また、モチベーションが高く仕事熱心なはずが、仕事依存症につながり、その結果として招く可能性のある事態が職場のうつだ。
 モチベーションの高い人は欲求水準も高い。だから、自分自身を追い込む傾向がある。多くのストレスを抱え込み、メンタル面が行き詰ることにもなりかねない。なんとか期待に応えようとプライベートも犠牲にしてがんばるというのは、危険が潜んでいるということだ。

 社員のモチベーションが低いよりは高い方がもちろんいい。職場の雰囲気も良くなるし、生産性も上がる。要はバランスが大事ということだろう。仕事は全力でやるにこしたことはないが、遊び、家族といったプライベートを充実したものにするのも重要だ。
 モチベーションは、些細なことで上下してしまうもの。成果を出す人は、気分に惑わされず、地道に自分のペースで仕事ができる人なのではないだろうか。
(新刊JP編集部)