Morindaなど、ノニ果汁がうつ状態を改善する可能性を示唆

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米Morindaと日本医科大学 スポーツ科学の三上俊夫 准教授らの研究グループは、ノニ果汁の精神疲労への有用性の研究を行い、その結果、ノニ果汁の摂取がうつ状態の改善に役立つ可能性が示唆されたと発表した。

同成果の詳細は2013年5月発行の「日本未病システム学会誌」に掲載された。

酸化ストレスやセロトニンなどのモノアミン欠乏が神経にダメージを与え、それが長期的に続くと、免疫の低下や自律神経失調症、うつ病などの発症リスクを高めると言われている。Morinda citrifolia(ノニ)果汁(MCFJ)は、これまでの研究から、モノアミン酸化酵素(MAO)AおよびBの阻害作用や、β-アミロイド誘導酸化ストレス動物モデルにおける抗酸化作用などが報告されており、その効能に注目が集まっている。そこで今回、研究グループはMAOによる酸化ストレスを促進し、モノアミンを枯渇させる薬剤「レセルピン(神経伝達物質枯渇剤)」によるモノアミン枯渇マウスを用いてノニ果汁(MCFJ)が精神疲労に有用であるか否かの検討を行った。

具体的な試験手法としては、6週齢のICR系雄マウス30匹をControl、Water、Noniの3群(各10匹)に分け、ステンレスケージに5匹ずつ入れ飼育。餌、飲料は自由摂取とし、ControlおよびWater群には水を、Noni群には10%MCFJを飲料として与え、試験開始から33日目(1mg/kg 体重)、および43日目(2mg/kg 体重)にレセルピンをジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かしWaterおよびNoni群に腹腔内投与、ControlにはvehicleとしてDMSOを投与。

試験開始34日目に新規環境での不安様行動および探索行動を評価するための試験の1つである「オープンフィールド試験」として、上方部分が解放された正方形のチャンバー(40cm×40cm×40cm)にマウスを入れ、6分間の行動をビデオで撮影し、立ち上がり回数を計測したほか、35日目および43日目に直径15cm、高さ25cmの円柱シリンダーに水深15cmになるよう25℃の水を入れ、その中にマウスを入れうつ様行動を評価する試験の1つである「強制水泳試験」を実施。

強制水泳試験はうつ状態を調べる試験で、水槽に入れたマウスが泳ぐことを諦め無動となる時間を測定するというもので、うつ状態であれば、無動時間は長くなることとなる。

これらの実験の結果、レセルピン投与後からWater、Noni群の体重はControlに比べ有意に減少したことが確認されたほか、オープンフィールド試験では、Control群で平均約18回の立ち上がりが見られたものの、レセルピン投与群ではほとんど動かず、各群から1匹のみの立ち上がり行動がみられたにすぎないこと、強制水泳試験では、Noni群はWater群に比べ、有意に無動時間が減少することがそれぞれ確認され、レセルピンの影響があることが示された。

また、セロトニンの量はレセルピン投与で明らかに減少していることが確認され、有意差はないもののWater群に対しNoni群はその低下が抑制された傾向がみられたという。

これらの成果に対し、研究グループは先行研究はノニ果実エキスを用いていたが、今回はMCFJを飲料として自由摂取させており、それがレセルピン投与でセロトニンが有意に減少したものの、ノニ摂取によるセロトニンの減少がやや抑えられた程度にとどまったつながった可能性があり、MCFJの濃度を上げる、もしくはレセルピン投与後に経口投与することなどで有意差が確認された可能性があるとしているが、少なくとも、ノニ果汁の摂取によりセロトニンの減少が抑制され、それがうつ状態の改善につながった可能性が示されたと説明している。



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