「パリにある日本的な場所」を案内するガイドブック、「Paris Japon 〜Suzukaのお勧めセレクション〜」。フランスの出版社から、フランス人向けに発売された。表紙には、フランスでタレントとしても活躍する著者の浅岡鈴果さん自らが登場!

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日本食は言うに及ばず、アニメやマンガ、アイドルがもてはやされるなどニッポン・ブームが続くフランス。そんな中、ついにフランス人向けに「パリにある日本的な場所」を案内するガイドブックまでもが発売されたようです。

表紙の女性は在仏歴10年以上という、著者の浅岡鈴果さん。実は鈴果さんは以前、コネタでご紹介した「銃士戦隊フランスファイブ」を制作したアレックス・ピロット監督の奥様。アレックスさんはその後、NOLIFEというテレビ局を立ち上げ、鈴果さんも日本事業部の部長をしつつ、「Tokyo Cafe」という人気番組のタレントとして多忙な日々を送っているのだとか。

そんなわけで、パリではちょっとした有名人である鈴果さんがナビゲートする本書。さっそく読んでみたところ、錦鯉が泳ぎ太鼓橋がある立派な日本庭園、忍術が学べる道場、原宿っぽいラブリーなクレープ屋さんなどなど、自分がどこにいるのかわからなくなってしまいそうな場所が満載!エッフェル塔やオープンテラスのカフェといった、いわゆる日本人が思い浮かべるパリとはまったく違う世界がそこには広がっていた……。本文はフランス語と日本語のバイリンガルで書かれているのだが、フランスの出版社がリリースした、100%フランス人向けの本という。

著者である鈴果さんにお話を伺ってみたところ、
「なぜ日本語も入れたのかというと、私の本を買うぐらいのフランス人はきっと日本語の原文にも興味を持つに違いない、というスタッフの意見から2カ国語での記載となりました。そのため、実は日本語の校正は一切入ってないんです……。私のハチャメチャ日本語を日本の方に読まれる事が実はとても恥ずかしかったりします」

いやいや、メールで鈴果さんから直接、オススメを教えてもらってるような親しみやすさがとってもよかったです〜。取材中の忘れられないエピソードって何かありますか?
「一番の衝撃は、契約を交わした出版社が執筆中に大手出版社に買収されてしまったこと。
担当さんから急にそんな連絡が来まして、すわっこれまでの苦労が水の泡か! と焦りました。一時はどうなることかと……! あと、実は本の中で使用されている写真に、私のセクシーショットが一枚あったりします。どれでしょう(笑)?」

えー! と思って探してみたところ、なるほど……というページを発見(笑)。それにしても、フルカラーで写真満載、辞書のように分厚い本で驚きました!制作にはどれくらい時間がかかったのでしょう?
「ふふふ。それは、ページ1枚1枚に厚みがあるからかも(笑)。実は、企画を持ちかけられてから1年と数ヶ月かかりました。私が自分で見て足を運んだ場所しか絶対に書きたくなかったので、取材にも時間がかかってしまったのです」

なるほど、確かにラッピングにオーナー手折り? の「折り鶴」使われているとか、実際に行って買い物した人でないとわからないプチネタがすばらしいと思いました。個人的に衝撃だったのは、日本の「どてら」や「地下足袋」「鳶ズボン」などというある意味、マニアックなアイテムまでをもふだんのファッションに取り入れるフランス人が増えているということ……。

なお、印税はすべて東日本大震災の義援金にされたそうで、まさにフランスと日本の架け橋的な本なのだ。現在、アマゾンフランスのほかNOLIFEのサイト、パリ市内にあるFNACといった大型書店(日本のTSUTAYAのようなお店)などで販売中だそうで、日本では手に入れる方法がないのが残念なところ……。パリが大好きな日本人にとっても新たな旅のヒントとなることは間違いないので、国内でもぜひ輸入書店などで扱われることを願う次第! です。
(野崎泉)