本日、2月1日は東京と神奈川県の中学受験の解禁日。男子御三家の開成・麻布・武蔵、女子御三家の桜蔭・女子学院・雙葉を始めとする多くの難関中学の入試の集中日だ。(写真提供:おおたとしまささん)

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2月1日は中学受験の集中日。東京都と神奈川県の入試が解禁される日で、本日をピークに3日までの三日間に多くの中学入試が設定されている。受験生にとっては勝負の時だ。

でも年端もいかない小学生が夜遅くに塾から帰ってくる姿をみると、可哀想なのではないか、そこまでやらせる必要があるのだろうか、とつい思ってしまう。

「可哀想だと思うことが一番可哀想ですよ」

そう語るのは中学受験に詳しい育児・教育ジャーナリストのおおたとしまささん。

「中学受験を名門校に入るための『必要悪』のようにいう人がいますが、それは合否の結果だけを重視する危険な考え方です。多くの子どもは自分で目標を定めてそれに向かって一生懸命に頑張っています。もちろん辛いこともありますが、それを乗り越えて目標に向かっていく過程自身に大きな意味があるのですから、そのチャレンジを否定しては子どもが可哀想です」

それは好きなスポーツや音楽に打ち込んでいくことと何ら変わりがないとおおたさんはいう。

「昨年ネットでイチロー選手が小学校の時に書いた『僕の夢』という作文を絶賛する人が多くいましたが、多くの中学受験生も基本的には同じ気持ちで臨んでいるんです」

とはいえ気をつけなければ、親子共々疲弊してしまうこともあるとも警鐘を鳴らす。

「最初は誰しも子どもの将来を考えて中学受験という選択を考慮すると思うのですが、次第に高い偏差値のところに入れることが目的化してしまい、子どもが潰れてしまったり家庭がギクシャクすることがあります。もちろん偏差値の高い学校には、高いなりの理由があります。しかし学校は大学進学のためだけにいく場所ではありません。中学高校は子どもが思春期の多感な時期を過ごすところですから、偏差値ばかりに捉われず校風をしっかり見極めて欲しいですね。第一志望は子どもにあった校風の中で目標となるような高めの偏差値の学校に設定して、それ以外は偏差値にとらわれずに校風中心に考えればいいと思います」

でもどうやったら合う学校はわかるのだろうか。

「多くの在校生や卒業生と話してみるのが一番わかりやすいですが、学校説明会も参考になります。ただし、注目は話の中身ではなく先生方の立ち振舞いです。そこに立派な建学の精神や教育方針とは異なる学校の雰囲気が現れます」

特に校長に学校のエッセンスが濃縮して現れることが多いとおおたさんは指摘する。生徒たちの顔つきまで、どことなく校長に似てくるというのだから驚きだ。学校説明会では校長の他の先生に接する態度に注目するといいという。

「たとえば校長先生が他の先生に対して高圧的な学校は、概して先生も生徒に対して高圧的です。それが先生方の事なかれ主義を引き起こせば、いじめ問題が起きた場合隠蔽につながるかも知れません。逆に風通しのいい組織は速く対処してくれるでしょう」

最後に、今日からまさに中学受験の正念場を迎える親御さんへのメッセージを聞いてみた。

「これまで目標に向かって一生懸命努力してきたなら、すでにお子さんも親御さん自身もかなり成長しています。それだけでも、十分努力のもとは取れていると考えていいと思います」

「第一志望に受かるに越したことはありませんが、ダメな場合でも親が必要以上に落ち込まないでください。受験は『縁もの』ですから、結果通った学校の方が合っていたということはよくあります。逆に親が引き摺って子どもに劣等感を与えるようなことだけは避けてくださいね」

がんばってきたすべての中学受験生にGood Luck!
(鶴賀太郎)