夏休み、幼馴染が家に遊びに来て…、扇風機に『あああああああーーーー』と無邪気に戯れる瞬間。(モデル:三戸なつめ/写真・文:古谷完) ※古谷さんが最も気に入っている写真。「うっかり、写真集・晴れのちツインテールに掲載するのを忘れた」とのこと

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2月2日はツインテールの日。今、ツインテールが脚光を浴びている。昨年11月に発売された、世界初のツインテール写真集『晴れのちツインテール』(飛鳥新社)は異例の大反響で、発売からわずか3日で増刷が決まったという。今回は、「日本ツインテール協会」会長の古谷完さんに、ツインテールの魅力と2月2日の「ツインテールの日」についてお話を伺った。

――まずは「日本ツインテール協会」そのものが気になるんですけど、活動のねらいは何ですか?
「一言で言うと、女性の皆さんが思ってらっしゃる『ツインテールは子どもがするもの』といった誤った認識を解いて、ツインテールは素晴らしい髪型だということをアピールすることです」

古谷さんによると、ツインテールは大人の女性がするとより魅力的になるのに、子どもがする髪型だというイメージのまま大人になった人が多いという。事実、女性に「ツインテールにして」と言うと「私、もう25歳だよ。ツインテールって、子どもがする髪型でしょ」と言われてしまうことがあるそうだ。
「特に『セーラームーン』のイメージが強いこともあって、ツインテール=子どもっぽいというイメージになってしまっているのではないか…?と「日本ツインテール協会」では思っています。それ故、高校生や大学生以上になると、ツインテールは邪険に扱われるようになってしまいます。ツインテール好きとしては、『このままでは、ツインテール女子が絶滅してしまうのではないか!』と思い、いても立ってもいられず2012年1月に『日本ツインテール協会』を立ち上げました」

ツインテールに対して、ここまで真剣に考えていた人が他にいただろうか?その後「日本ツインテール協会」は2月2日を「ツインテールの日」と制定。「日本記念日協会」から認定された、正真正銘の“記念日”である。ちなみに、「ツインテールの日」は、男性が心惹かれる女性に2本のゴムを渡し、女性は、彼の気持ちを受け止める心があるのなら、ツインテールで応えるという日だ。

――ロマンティックですね。
「バレンタインやクリスマスなどの、日本で盛り上がっているイベントは海外から入ってきたもので、日本発のこともできないかと思いまして…。ツインテールの日に2本のゴムを渡す習慣が国内だけでなく、世界中に広がっていったら、楽しくて平和になるんじゃないかと思っています」

男性の場合、どんなゴムを贈ればいいか迷うところだと思うが、古谷さんの話ではシンプルなものでも高価なものでも良いので、「あなたのことを思っています」という意思表示をすること自体が大事とのこと。

そもそも、古谷さんはなぜここまでツインテールが好きなのか、聞いてみた。

「学生時時代の校則が厳しくて、女子の髪型は縛らないといけないっていうことになっていたので、髪型がポニーテールかツインテールか三つ編みの3種類くらいしか選択肢がなかったんです。どういう訳か、僕が学生時代について思い出すものの中に、ツインテールがありまして、気づいた時にはツインテール好きになってました。街でツインテールをしている人を見ただけで『あ、ツインテールだ!』と思ってテンションが上がっちゃうんです。四つ葉のクローバーを見つけた時のような感じですね」

古谷さんは女性がツインテールをするしぐさにも、キュンとくるという。
「ツインテールにする瞬間、女性は少女に戻ります。逆に、ツインテールをほどく瞬間、女性は大人の階段を上ります。特に、ツインテールをする瞬間には、恥じらいが生じるんです。“恥じらう女性は美しい”っていう言葉がありますけど、高い位置で結べば結ぶほど、恥じらいが生まれてくるんです」

ツインテールの理想の“発射角度”についても伺った。
「発射角度が135度であれば、ツインテールは美しい弧を描いて、頭の部分と発射したツインテールとの間に丸い空間が生まれます。僕はその状態に憧れてまして、そこの空間をプロデュースしてるんで、ある意味『空間プロデューサー』なんです(笑)」

「おお〜!」
……思わず感心してしまったではないか。

そんな古谷さんが「ツインテール協会」を設立して以降は、ツインテール=子どもの髪型というイメージは薄れて、多数の女性誌でツインテール特集が組まれるようになる。加えて「日本ツインテール協会」のサイトでは、頻繁にツインテールの女性の写真を紹介していることもあり、モデル志望の方からのメールが届くという。しかも、多い時は1日で30〜40件も届くとか。

さらに、冒頭でも触れたが、昨年11月に世界初のツインテール写真集「晴れのちツインテール」(飛鳥新社)を発売して大ヒット。発売から3日で増刷が決まったほどで、今もなお売れ続けている。

――撮影する時に気をつけたことは?
「『キュンとする瞬間』を、いかに拾い集められるかということを念頭に置きました。特に、学生時代の淡い思い出は、恋に落ちてキュンとくる瞬間だと思うんですよ。例えば、お盆に遠い親戚の子が本家に遊びに来て、その子の髪型がツインテールで、キュンとくる…みたいな。僕はこれを『神キュン』と呼んでますが、大人になるとキュンとくるような感じって、だんだんなくなってきますよね。でも、キュンとくる瞬間は美しいので、写真を見た方にあの頃のピュアな気持ちが蘇ってくれたらと思っています」

ちなみに、古谷さんは写真家、ファッションデザイナーでもあり、米国留学時代よりカメラを持ち始め、十代から写真を撮り続けてきたという。だからということもあって、写真のクオリティが非常に高い。

――写真集への反響はいかがでしたか?
「『自分もツインテールが好きだということを、まわりの人に言えるようになりました』というようなご意見をいただきました。あと、最初はマニアックな皆さんを中心に手にとってくださるのかと思ってましたが、男女年齢問わず、幅広い層に好評です」

――古谷さんはもちろん、ツインテールの子がタイプなんですよね?
「もちろんです。ただ、『日本ツインテール協会』を設立して、僕のツインテール好きが広まってからは、まわりの人から『変態じゃん!』って言われるようになりました(苦笑)。それに、毎日ツインテールについてツイートしてるからか、モテません(笑)」

なかなか痛し痒しである。

ちなみに、個人的には惣流・アスカ・ラングレー(新世紀エヴァンゲリオン)が好きなのだが、古谷さんによると、アスカの髪型は正式にはツインテールではなくて、ツーサイドアップなのだそうだ。

古谷さん「アスカの髪をツインテールだと思ってる人が多いので、ツーサイドアップもツインテールの“親戚”として認めないといけないかもしれませんね(笑)」とのこと。

ツインテールの世界は深いのであった……。
(やきそばかおる)


■ 「日本ツインテール協会」
会長の古谷さんは、雑誌『smart』(宝島社)にて「日本ツインテール化計画」、『COOL TRANS』(ワニブックス)にて「古谷完の旅する羊」他、フォトグラファーとして各誌に連載多数。
■ 「晴れのちツインテール」(飛鳥新社)