見た目は普通のハンバーガー。

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フォアグラをファーストフード店で手軽に食べられる。仏大手ハンバーガーチェーンQUICK(クイック)では、フォアグラとハンバーグ、レタス、オニオンソースを穀物入りのバンズで挟んだハンバーガー「クイックン・フォアグラ」を販売中だ。

フォアグラといっても、値段は2.9ユーロ(約350円)とお手頃。フォアグラなんて(少なくとも記者にとっては)特別な日に高級レストランでナイフとフォークを震わせつつ口へ運ぶような代物だが、そんな憧れの食材をQUICKではハンバーガーとして食べられるという。一体どのような商品なのか? 早速食べてきた。

店舗を訪れたのは、午後3時を回ったおやつの時間。フランスのファーストフード店は、どこのチェーンも日本のように素早くない。ピーク時をずらして来店したにもかかわらず、オーダーから提供まで結構待たされた。しかし今回の相手はフォアグラ。こんなことで目くじらは立てるのは野暮だ。高級レストランにいるかのごとく、これから出合う様々な食へのイマジネーションを膨らませながら、その時を待った。

ようやく店員さんからフォアグラバーガーを手渡され、席で包み紙を開けた。予想していたよりも見栄えは少し寂しい。ただ、値段が2.9ユーロなのでこれには目をつぶろう。口へ運ぶ。すると穀物入りのバンズが、程よいかみ応えをもたらした。さらに前歯はレタスを通り抜け、オニオンソースで味付けされた薄く固めのパテと、パテの約半分の大きさで中央に鎮座するフォアグラを噛み切る。オニオンソースの甘さとフォアグラの甘さが溶け合う。それら柔らかさを支えるように、固めでしっかりと焼かれたパテが、食感にアクセントを効かせる。ああ、牛とガチョウが奏で、野菜が支えるハーモニー。この組み合わせ、悪くない。

……さて正直に書こう。(値段的に仕方ないのだが)フォアグラの味は通常のものよりは落ちる。パテの薄さと硬さも気になる。ハンバーガーの作り方も雑だ(これはQUICKに限らず仏ファーストフード各チェーンに共通している)。しかし価格との釣り合いを考えると、特に不満要素が強いわけではない。上述したようにオニオンソースとフォアグラとパテの組み合わせも良い。一度食べてみる価値はある。

ちなみに、このフォアグラバーガーを販売する「QUICK」とは、1971年にベルギーで生まれ、現在フランスで大規模展開するファーストフードチェーンの1つだ。フランスのハンバーガーチェーン店はこのQUICKとマクドナルドを中心にシェア争いがおこなわれている。
(加藤亨延)