特に今の季節は火の後始末にご注意を(写真はイメージです)。

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乾燥シーズンが続いている。こんな季節、一番怖いのが火事だ。

統計的に火災が増える時期は2〜3月。原因は放火が上位に上がり、続いては煙草やコンロなど。煙草やコンロなどは気をつけるとしても、放火・貰い火など自分の注意だけでは、どうにもできない事故もある。火事はけして他人事ではない。
実際、火事になってしまったら一体どんな流れになるのだろう。

まず火事に遭ったとき、何よりも大事なのは怪我をしないように逃げること。さらに近隣の人への注意勧告も忘れずに。そして消防への連絡、消火へと続く。

こういったときに心強い味方となるのが、火災保険。
火災が落ち着いたら、まずは何はともあれ自分が契約している保険会社に連絡すること。どんな流れで利用することになるのか。火災保険を取り扱っている三井住友海上さんに伺ってみた。

保険会社では、通常、事故受付後に以下のような流れとなる。
まずは受付。契約内容の確認。保険金請求書類の送付、保険金受取までの流れの説明。そしてもっとも時間がかかるのが損害状況、事故原因等の確認・調査。そして最後に支払いとなる。

これにかかる時間だが、「ケースによってかなり幅がありますので、一律に○日、○ヶ月とは申し上げにくい状況です」という。しかし、「被害が軽微な場合には、被害状況を書面でご提出いただき、現場調査を省略することもできますので、比較的早くお支払いできます」とのこと。

火災後は、何かとお金がかかる。中でも痛いのが、片付け費用。燃えてしまったものの廃棄やリサイクル。こういった諸費用も、ほとんどの保険契約にセットされているそうだ。

しかし「放火被害、失火ともお支払い対象ですが、契約者や同居のご家族に故意や重大な過失があった場合には、保険金をお支払いできないことがあります」ということなので、ご注意を。

火事を出さないよう気をつけるので保険には入らない、という人も最近は多いそうだ。
しかし問題は、もしこれが貰い火だった場合。実は隣が出火して自宅に延焼しても、火元の家主から賠償金をもらう事はできない。自分の家の回復は自分のかけた火災保険に頼る事となる。これに関わってくるのは失火法という法律。
「日本には木造住宅が多く、火災が生じた場合には近隣への延焼が広範囲に及びます。そのすべての損害賠償を失火者が負うのは苛酷であるとの理由から、失火法により損害賠償責任が免除されています」

では例え自分が火元でも、周囲に対する賠償は必要ないのだろうか。
「火元に過失がある場合を除いて法律上はそうなります。ただし借家に居住しており自らが火元となった場合には、大家に対する損害賠償責任は免除されません」
借家には原状回復義務があるため、大家に対する保障は免れない。さらに近隣とのトラブルを避けるため、賠償責任の有無に関わらず近所の損害を補償する特約も最近は人気なのだそう。

自分が火元になった場合だけでなく、貰い火でも面倒な火事。
いざその時に泥縄にならないように火災保険の見直し、そしてもちろん火事を出さないように二重三重のチェックで乾燥シーズンを乗り切りましょう。
(のなかなおみ)